05
しばらくして、気付けば時計の針は11時58分を指していた。
「そば出来た!」
フタを開ければ、美味しそうなそばの香り。
つけっぱなしになっていたテレビのカウントダウンも、もう終盤にさしかかっている。
「伊月、もう諦めなよ」
「…だな。ここで年越してからコガん家行くわ」
「小金井くんの家分かりそう?」
「地図送ってくれるみたいだから大丈夫」
「ならよかった」
ズズズ…とそばをすする。
『それでは皆さんもご一緒に!10,9,8,7…』
テレビの声が一層大きくなって。
『6,5,4,3…』
「伊月、明けるね」
「明けるな」
『2,1……あけましておめでとうございまーす!!!!』
高らかなテレビの声。
ドン、ドン、と外から聞こえてくる花火の音。
遂に、年が明けた。
「「あけましておめでとー」」
私は伊月とそう言い合って、笑う。
今年も無事に年越しそば、食べれて良かった。