04
「伊月、無理。やっぱ一人で頑張って!」
「え、ええええ何で!?」
「そばだよそば!じゃね!」
コンビニの袋に入ったそばを高々と伊月に見せて。
家の玄関に向かって一直線にダッシュしようとした。のに、
「ちょっ、待って!」
ガシリと伊月に腕を掴まれて阻まれる。
「離して!そばが!」
「オレだって大変なんだよ!」
「そば!」
こうしてる間にも時間はどんどん新年に近付いてるのに…!
あーもう!
「分かった!じゃあ充電器貸すから家上がって!」
私と機種一緒でしょ!
そう叫べば、ようやく伊月の力が弱まって。
「え、いいのか?」
「そば食べれないより全然いいから!」
「それじゃあお邪魔しま「さっさと行くよ!」
今度は私が伊月の腕を掴んで猛ダッシュして家に帰り、袋からそばを出して中にお湯を入れる。
時計を見れば…11時55分。
ふー…危ない危ない。
「はいよ」
「サンキュ」
私が引っ越してから伊月は何度か遊びに来た事があるから、
充電器を伊月に手渡すと慣れた手つきでそれをコンセントに差し込む。
ほどなくピローンと携帯の起動する音が聞こえてきて、同時に「げ」という伊月の声。
「コガからメール14件も来てるよ」
「うわー…心配かけるとか伊月最悪」
どうやら小金井くんに返信するらしく、
うるさいなあ…と言いながらカチカチとメールを打ち始める伊月。