03



「伊月…何で?」

幼なじみとはいえ、去年私が隣町に引っ越したから、本来伊月の家はもっと遠くにある。
こんな大晦日に部活もないだろうし、何故こんな所にいるのか。

そう疑問に思ったけど「バスケ部で年越しするんだよ」の返答で納得。
確か小金井くんの家は私の近所だった。


「小金井くんの家に集まるって事?」
「そうそう」
「でも早く行かなきゃ年明けるよ」
「いや、分かってんだけど…コガの家分かんなくてさ」
「え、何それ迷子!?」
「コガん家行った事ないからさー…」

そう言いながらわしゃわしゃと自分の髪を掻く伊月。

「高校生になって迷子とかバカだなー」
「…知らなかったんだからしょうがないだろ」
「だってフツー知らなかったら事前に教えてもらうとかしない?」
「住所は知ってたから着けると思ったんだよ」

住所って…あんた地図じゃないんだから住所だけで着ける訳ないだろ。
まったくダジャレは用意周到なくせにこういう所は抜けてるんだよなー


「小金井くんとか日向くんからメール来ないの?」
「いや、来てるとは思うんだけど…今そこで携帯の充電切れてさ」


本日3度目の大きなため息が出た。

せいぜい一人で頑張って!と言いたいところだけど…
伊月を見てたら、何となく見捨てるのがかわいそうになってきた。


「んじゃ私教えようか?知ってるし」
「マジで!?そうしてくれると助かる!」
「うん」

ったくしょうがないなあ…

えーと、小金井くんの家はだいたいここから何分だっけ…
そう思いながら携帯を見れば…11時52分。

ってええええ!!

ヤバいヤバい真面目にもう年明けるじゃん!
伊月の相手してる場合じゃないんだよ!
さっさと帰ってこのそばにお湯入れないと!







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