04






走って、走って。

体育館の前を通り過ぎた時に、メガホンが目に留まった。
立ち止まってそれを手に取って、また走る。

屋上への階段を上がれば、奥の方からがやがやと声が漏れてて

はやる気持ちで屋上のドアを勢いよく開けた。




バタンッ




その途端目の前に映るのは、友達が言った通りの光景。

黄瀬を真ん中に、5人の男子がそれを囲んでいる。


「何やってんの!!!」


声の限りに叫べば、6人が一斉に私を見た。


「○○、っち…?」
「何だお前」

驚いた表情の黄瀬。

そして私を見つけて睨みをきかしてくる5人の男子。
さすがに5人は怖い、かも…
…でも、このまま引いちゃダメだ。

「あんたたち、黄瀬から離れてよ!」
「お前、こいつの彼女?」
「ちがっ、違うけど…」
「だったらすっこんでろよ」
「てめぇも痛い目見るぞ」
「○○っち早く逃げて!」


必死な表情の黄瀬に大丈夫と言ってから、
私は手に持っていたメガホンを取り出した。


「は、早く離れないとこれで叫ぶからね!」

そしてメガホンを5人に見せる。
その瞬間、5人の表情がサッと青ざめたのが分かった。

それもそのはず。
メガホンで叫べば学校中に声が響き渡るもんね。


「…チッ、あームカつく!」
「覚えてろよお前ら」


そしてマンガみたいな捨てゼリフを残して

男子は皆屋上から出て行った。








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