03
「そういえばさっきね、友達とスポ大の時の話してたんだ」
「へー、そうなんスか」
「でね、友達にバスケに出てた男の子カッコ良くない?って聞かれて」
「え?」
「その男の子、すっごいシュート決めてて、一番目立ってたの」
私の話を聞きながら、むうっ…とふくれっ面になっていく涼太。
それが何だかおかしくて、思わず笑ってしまった。
「何で笑うんスかー」
その口調にまで、すねた様子が含まれていて。
さっきのお返しだからね。
そう心の中で呟いてから、ぎゅっと涼太に抱きついた。
大きくて、あったかくて…安心する。
「涼太の方がカッコ良いもん。て、思ったんだよ」
「なっ…もー…それを先に言って下さいっス!」
「ごめんごめん」
「絶対悪いって思ってないでしょ」
「何それさっきの私のコピー?」
「あーもう…」
ほっとしたようにため息をつきながらこてん、と私の方に頭を預ける涼太。
だからね。
そう思ってた時に丁度涼太が来たから…嬉しかったんだよ。
「やっぱりオレが○○っちの所に行くっス!」
「え、何で?」
涼太が口を開くと、それに合わせて涼太の髪の毛がさらりと動く。
「○○っちの学校の人たちに、オレの存在を分からせる」
そういえば、私の高校に帝光中の子は私しかいないから…
私に彼氏がいた事自体、誰も知らなかったんだよね。
私も何となく恥ずかしくて言い出せなかったし。
だからこそ、さっきのインパクトは友達たちにとってさぞかしでかかっただろうなあ…
「うーん…さっきのでもう十分じゃない?」
「まだまだっス!」
そう言って顔を上げて私を見る涼太は…すごくすごく、カッコ良くて。
そんな君の隣に居れる私は、幸せ者だね。
「涼太」
「何スか?」
「ありがと」
これからもずっと、隣に居れるといいな。
(オレはいつだって全力で―…)
君へ走る
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