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―…定期考査

そう…約2週間後に行われるそれが、全ての始まりだった。

あれは今から、5日ほど前の事―…


「そろそろ定期考査が近付いてきたね」
「室ちん嫌な事思い出させないでよー」
「おお、忘れとった。その事なんじゃが…」


氷室くんと紫原くんの会話を聞いていた岡村主将が突然声を上げた。


「全員今回の定期考査…赤点は取るなよ」


「えっ、どういう事ですか!?」

その言葉に真っ先に反応したのは…悲しい事に私だった。

「前回の定期考査で、運動部の奴らの点数が酷かったそうじゃ」
「それがどうしたアル」
「学生の本分は勉強。と言う事で…今回赤点を取った者は1ヶ月部活動停止になると担任が言っとった」
「いっ…1ヶ月!?」

岡村主将の言葉に、ただただ驚くしかなかった。

1ヶ月…運動部の人間にとったらかなり致命的な期間だ。
その間に試合や合宿もあるんだから。


もしも赤点なんて取ろうものなら…絶望に等しい。


「まあバスケ部に限ってそんな事はないと思うが…一応忠告じゃ」


それだけ言って岡村主将はどこかへ行ってしまった。







何となく岡村主将の動きを目で追っていると…ばちりと、氷室くんと目が合った。

「大変なことになったな」

全然大変じゃなさそうな顔をして氷室くんは笑う。


「名前は大丈夫?」
「……」


大丈夫。

本来ならそう言いたい。
けど…大丈夫じゃない状況に私は置かれていた。

いや、総合的に見ると点数はまずまず良い。
ただ…前回の定期考査で、私は英語だけ赤点を取ってしまったのだ。
何故か昔から壊滅的に英語の点数だけは悪い。
つまりは、今回の定期考査でも英語で赤点を取る確率は十分にある。

今までは他の教科でカバーしてごまかしてたけど…
“赤点”を取った時点で部活停止なら…私はどうしたら良いの…


「…じゃなさそうな顔してるね」
「分かる?」
「何となく」

今まで氷室くんと勉強の話なんてした事なかった。
けど…この悩みを誰かにぶつけたい。

そんな思いで口を開いた。


ドンマイ、とか頑張って、とか…そんな言葉が返ってくるんだと思ってた。

だけど、氷室くんから返ってきた言葉は意外なもので。



「じゃあ…オレと勉強しようか」







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