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「もー無理!」
「あ、名前…」
「無理ったら無理だあ!」


カシャーン!

手に持っていたシャープペンを机に放って…
そのまま後ろにあったベッドにごろんと寝転ぶ。

「名前ー」

不安そうに私を見る氷室くん。

「もう無理ー」

そう言ってから、私は布団に顔をうずめる。
ふわふわした布団が気持ち良い。


「……」
「……」


数秒経って

また視線をゆっくり氷室くんに戻してみれば…
氷室くんは本気で困った顔をして、私の放ったシャープペンとにらめっこをしていた。
左目にかかる髪が、さらさらと窓から入ってくる風になびいている。

綺麗な顔だなあ…なんて思ってみたり。
こんなタイミングでそんな事思うのもなんだけどね。


しばらくして私の視線に気付くと、氷室くんはそのシャープペンを拾って私に差し出してくる。


「ほら、頑張って」
「もー駄目だって…」

その言葉に氷室くんは、今度は消しゴムと定規まで差し出して来た。

「無理だよ」
「名前、」
「ほんとに無理なのー」


困ったなあ。

そう言ってまたシャープペンとにらめっこを始める氷室くん。


私と氷室くんが何故こんなやりとりをしているのか…

それにはちゃんと、理由がある。




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