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「…何よ」
「……いや」

あの後とりあえず更衣室で運動着に着替えて、びしょ濡れの髪をタオルで拭いて教室に戻った。
すると私の隣の席に座る、朝練を終えて登校して来たであろう緑髪の奴―…
そいつが私を見た途端、友達同様絶句した。
数秒の後、そいつ―…緑間の隣に立っていた高尾が吹き出した。

「ぶはっ…おま、この晴天に何してんだよ!」
「ちょっ笑わないでよ高尾!」
「どうしたんだ名字」
「…聞きたいの?」
「ああ」

友達にしたのと同じ説明を緑間と高尾にしてやれば、再び数秒の沈黙。
…すぐに高尾がまた吹き出したけど。

「よりにもよって今日体育ねーじゃん!目立つな名字…プッ、」
「高尾、笑い事ではないのだよ!」
「「…へ?」」

突然の緑間の言葉に、奇しくも私と高尾の声がハモる。


「…真ちゃん?」
「これは大問題なのだよ…名字!」
「はいっ?」
「それ以外に何か変わった事はなかったか?」
「変わった事?」
「何か災難に巻き込まれていないか聞いているのだよ!」
「え?えー…ああ、そう言えば…」


寝坊して、鉛筆踏んで、ご飯喉に詰まらせたよ。
そんな内容の事を完結に伝えれば、何故か頭を抱えてうなだれる緑間。

…さっぱり分からない。
何となく高尾を見てみれば、高尾も私を見てきて。
2人揃って、首を傾げる。


「やはり侮れない…こうなったら補正するしか…しかし手に入れるのは困難なのだよ…」

ぶつぶつと一人呟く緑間。
…って危ない人みたいに見えるから止めて欲しいんだけど…


「おーい、緑間ー?」
「真ちゃーん?どうしたー?」

高尾と2人で呼びかけていると、ようやく緑間がガバッと顔を上げた。
かと思えば…

「おい…今日刃物を使う授業はあるか?」
「刃物?」
「これは重要な問題だ!」
「え?あ、うん。刃物ねー…高尾、何かあった?」
「刃物…あー…今日の選択美術って彫刻じゃね?」
「あ、そう言えばそうだった!彫刻刀使うね」
「んで真ちゃん、それがどうしたんだよ?」


「名字…お前は今日彫刻刀を使ってはいけないのだよ!!」


「「は!?」」

再び高尾とデュエット。
いやいやいや…意味分かんないって緑間…








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テーマ「人外ファンタジー」
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