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君のラッキーアイテム




「名前、もう出なきゃ学校間に合わないんじゃない?」
「へ?…わっ、やば!行ってきます!」
「行ってらっしゃーい」


思い返せば…今日は朝から変だった。

いつもの時間に何故か目覚ましが鳴らなくて寝坊した。
起きた瞬間に床に転がった鉛筆を踏んで右足に激痛が走った。
普通に食べてるつもりなのに、ご飯が喉につまって3回も咳き込んだ。

全てが不幸の始まりだったんだと、今なら思える。


だけどこの時の私はそんな事微塵も思うはずなく…

元気に家を飛び出して行ったんだ。






君のラッキーアイテム


「おはよう…」
「おはよう名前!…ってどうしたの!?」

教室に着くなり私を見た友達は、絶句した。

それもそのはず。
今の私は、頭の先からつま先まで水でびっしょびしょなんだから。
…そう。制服まで全て。

「あのさ…普通に登校してたんだ」
「うん」
「そしたら庭の花にホースで水撒きしてたおばあさんがいたんだ」
「うん」
「…そのホースが暴走したんだ」
「うー…ん…うん、」

大変だったね。
そう言いながらポン、と私の肩を叩く友達。
…その友達が小刻みに震えているのを私は見逃さなかった。

「ちょっ、笑わないでよ!」
「笑ってない笑ってない!…プッ」
「こらあ!」