※オーバとデンジ





 明日は絶対ご飯作りに行くから!なんてオーバが言ったのは、三日前のこと。なのにあいつときたら何の音沙汰もなく俺との約束を破ったのだ。こんなことは今まで一度もなかったからどうしていいのかも判らなくて、ただとにかくあいつの家に向かうことにしたのだった。
 鍵はかかってなかったけれど、オーバの部屋はしんとして暗くてまるで蛻の殻のようだった。辛うじて聞こえたのは、何か呻くような声。不審に思って近づくと、そこにはオーバが床に突っ伏して倒れていた。

「おい! 大丈夫か?」
「お、デンジ……悪いな、この間の約束」
「そんなこと言ってる場合じゃないだろ! 良いから布団に戻るぞ」

 珍しく青白い顔色のオーバは、俺との約束を守れないことを本当に申し訳なさそうに謝ったが……莫迦なのか、こいつ。今くらいは自分の身を案じてやれよ。よろよろとしたオーバに肩を貸して寝床まで運んで寝せてやると、オーバはそのまま眠ってしまった。

「……どうしたもんか」

 腕を組んで考え込む。このまま放って帰るわけにもいかないし、かと言ってぼーっとしていても腹は減るし……となると、俺がすべきことは決まっている。面倒くさかったりもするが、いつもあいつにしてもらってばかりだから、まあたまにはそれもいいか。





たまには





「お、起きたか?」
「ああ、悪いな……って何だこの匂い」
「……ん、食えよ」
「たまご粥か……俺、感動」

 嬉しそうに俺が作ったお粥を頬張るオーバを見ていると、なんだかちょっと照れくさい。けれど。

(こいつのこんな表情が見れるならたまには良いかもな、なんて思ったのは内緒だ。)





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10.11.28
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