「それでいいじゃないか」のオーバさん視点 一体どれくらいの間、あいつに連絡していないんだろうか。一ヶ月、三カ月……否、半年は連絡という連絡をしていない気がする。 デンジは相変わらず不摂生な生活を送っているのだろうか。あ、でもせめて飯だけはちゃんと食っててほしい。次会ったときにはミイラでした、なんて冗談にしちゃあ笑えない。 そんなことを考えてたら、なんだかデンジのことが心配になってきた。最初はデンジが俺を心配してくれてたりするのかな、とか考えてたはずなのにな。まあいいか。 とにかく心配だ、連絡をとろう。俺は色々なものが詰め込まれているポケットをがさごそと漁って携帯を取り出す。奥の方へ追いやられていたせいで、携帯を出すだけで一苦労。暫く放置を決め込んでいたから大量の不在着信の痕跡。けれど今はそんなものは無視して、とにかくデンジに連絡しよう。 えーと…何て言えばいいんだ? あ、あれだ、まずは謝るか。連絡しなくてごめん、とか? いやいやきっとこれだと「そう思うなら連絡してこい糞アフロ」とか言って怒られそうだ。……リアルに想像できんな、これ。じゃあ何だ? …… なんてあれこれ考えてみたものの、結局なんて言えばいいのかなんてちっとも分からないままだった。 「あー…分かんねえ」 とりあえずこれでいいか。送信ボタンを押して、メールよ、デンジに届け! -------------------- To:デンジ title:(no title) 明日、帰る -------------------- たった一言。事実だけを述べた、短いメール。タイトルも記さず、たったそれだけの内容。結局のところ、俺にはこれしか思いつかなかったわけだ。 元気にしてるかとか、ご飯はちゃんと食べてるかとか、他人に迷惑かけてないかとか。挙げればキリがないほど言いたいことはあったはずのに、メールにしろ電話にしろ、もどかしすぎて伝えられない。挙げ句どうしようもない報告メールだけで終わってしまった。ごめん、デンジ! 暫くの間返事が来なかった。 まああのメールじゃ大して返信する内容もないからな、返信がないのも当然か、なんて自分に言い聞かせていると携帯が震えた。ビクッと跳ねた心臓を落ち着けてディスプレイを確認すると、案の定デンジからだった。 -------------------- From:デンジ title:(no title) 待ってるから早くしろ、糞アフロ -------------------- 本文を見て、思わずにやける。たった一文。けれど確信できる。きっとあいつも同じように考えてたんだろうな。 だからうんまあつまりそういうこと (に、しても糞アフロか) とりあえずこれは愛情表現として受け取っとくか。 -------------------- 10.09.09 title by:花洩 |