天恵物語
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第三章 16-1

翌日。

リタが目覚めたのは昼頃だった。
窓から入って来る日の光に目をすがめていると……


「うわ……っ?!」


いきなり背中をど突かれた。


「ついに……ついに……つーいにやってくれたわネ、リターっ!」


「あ……サンディ?」


目を白黒させているリタに、サンディは構わず詰め寄った。ど突いたのはサンディだったのだと悟ったリタは文句を言おうと口を開きかけるが、サンディの顔が満面の笑みであったことに、首を傾げた。


「どうか、した? ……てか、今までどこにいたの?」


「いや、うん……近くにはいたわヨ? でも、あんな雰囲気をジャマするほどアタシも野暮じゃないってゆーか、何てゆーか……」


「え?」


ぶつぶつと呟き、最後の方が全く聞こえなかったが、「そんなことは気にしなくていーのヨ!」と突っぱねられてしまった。
昨夜の一部始終をサンディに見られていたことには気付かないリタである。


「それよりさ、アンタは見えないだろうけど……今町中に星のオーラが溢れてるんだヨ。これだけ人間を幸せにしたら、リタの天使としてのランクも赤マル急上昇間違い無しでしょ? ……ってことは、今度こそ箱舟ちゃんも動いてくれるハズっ!」


こぶしをグッと握るサンディに気後れしたものの、後半の言葉にはリタも瞳を輝かせて喜んだ。
思わずベッドから身を乗り出す。


「それ、本当に?!」


「そりゃあ、これだけの人間を幸せにしたんだからトーゼンでしょ。さぁ、天の箱舟までダッシュで戻るわヨ!」


「へ……」


今にも出発しそうな勢いのサンディを、慌てて止める。


「ちょっと待ってサンディ! とりあえず…………着替えさせて」


リタは今、寝巻姿だった。


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