俺には仲のいい奴がいる。今日はそいつの話。

そいつはさ、出水って言うんだけど俺と同じボーダーで、天才シューターなんて言われてる。実際あいつと戦うとまーよくこんなに自由自在に弾を動かせんな!とかその弾数どーなってんだよ!て思うし、それにあいつはよく戦況を見てるし、戦況を動かすための動き方も自然と身に付けてて、気が付いたら頭を撃ち抜かれてるとかさ気が付いたらあいつの思う通りに動かされちまったとかよくあるし、確かに天才なんだと思う。あ、でも勘違いすんなよ!戦績としては5:5なんだからさ。
で、そんなあいつは、普段はまー普通の高校生だな。ちょっとモテるけど。俺もモテるし。負けてねーし。
ただまー、あいつはちょっと普通じゃないとこがあんの。それが、さあらって可愛い彼女がいるとこと、その彼女の扱いが凄すぎってとこ。どういうことかっていうと、つまりなんていうか溺愛?愛しすぎ?

昨日もさ、出水と他のクラスの奴と喋っててさ。あいつはさあらの前の席で横向いて俺らと喋ってたわけ。そういう時ってさあらは会話に交じることもたまーにあるけど、大体は静かにスマホいじってたりとかすんのな。その時も前向いてぼーっとしてた。んでその時、さあらはカバンから缶コーヒー出して飲もうとしてたんだよ。で、さあらって普段はどっちかつーと非力だからさ、俺らだと考えらんねーけどその缶開けるのに苦戦してたんだよな。爪何回か引っ掛けてはガシガシしてて。何してんだよって見てたんだけどな。そしたら出水がさ、さあらの方ちっとも見ないでだぞ。しかも俺らと会話続けたままな。右手伸ばしてさあらの手元の缶コーヒーの蓋片手で開けてさ。

「公平ありがとー」

とかさあらが言って、したらあいつそのまま右手でさあらの手捕まえてそのまま手とか繋ぐみたいにしてさ!俺らと!普通に!会話し続けながら!彼女とイチャつくって!なんなんだよ、あいつほんとに!俺と同じ歳のやつのやることじゃないっての!
そういう奴だから、まーさあらは出水にベタ惚れだよなそりゃ!あんな束縛の鬼なのに!あんだけ愛されてりゃな!

「出水お前、ほんとそういうことな!」
「それ。つーか俺もやまださんみたいな彼女ほしい!」
「は?さあらはやんねーぞ」
「いや取らねーよ、お前に殺されそうだもん」

うん、加藤正解。さあらに近付いてみ多分本気で潰されるから。出水からと、多分太刀川さんとかから。怖いぞ、うちの一位部隊。

「今日そっちも任務だっけ」
「おー夕方からな」
「じゃ一緒に行こうぜ」
「おー」

ってことで。授業終わりで本部にレッツゴー。夕方から夜中までのシフトなんで、途中のコンビニで適当に飲みもんとか食いもん買って買い食いするか。
さあらと一緒に立ち上がった出水は、当たり前みたいにさあらにコートだけ着せてさあらの鞄は自分の鞄と一緒に肩にひっかけた。最初は割とそれだけでザワザワしてたけど、もうクラスの奴は慣れたもんで普通にスルーしてる。慣れなきゃやってらんねーつの。

「あ、さあら。一緒に払っといて」
「うん」

で、コンビニでは自分の財布さあらに渡して払わしといて荷物は全部出水持ちな。だからお前ら夫婦かって。

「もうお前らさっさと結婚しろ」
「卒業したらな」

恥じらえ!バカップル!
結局俺はげっそりしながら本部へ向かった。

よねやんからばかっぷるへ


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