一人の孤児がいた。幼い頃に母を亡くし、戦で父をなくした少年がいた。

彼は街の教会に引き取られ、そこで育った。今年で齢、十五になる。

少年は、戦で亡くなった父の背に刺さっていた剣を抱え、夜の星空を見上げて言った。


「父さん、僕が絶対、敵をとるからね……」










一人の魔女がいた。様々な薬を駆使して病を治す術を持ち、大事が起こる前には必ずそれを予言したことから、近くの村人たちは彼女を魔女と呼んだ。

魔女の素性については全てが謎に包まれ、外見は老婆のようであるが、齢は不詳である。


「ああ……来る……、終焉が……やって来る……」










一人の将軍がいた。軍の指揮官を務める程にまで上り詰めた若い男がいた。

彼の父は嘗ての英雄、彼の母は神官の息子。とても大切に育てられた。今年で齢、二十三になる。

彼は父から受け継いだ、前王からの贈りものである宝剣を掲げ、自軍を前にして言った。


「我ら帝国軍の前に、敵はない! 行くぞ!」










一人の女王がいた。王の座に即位し、国民に祝福される少女がいた。

母は数年前に病に倒れ、父は傾国の美女に溺れ、数ヶ月前に反乱軍によって治世を終えた。少女は今年、齢十五になった。

少女は今、再び豊かな国を取り戻そうと、父の不始末を私が片付けるのだと、覚悟を決める。


「私は再びこの国を、皆に愛される祖国にすることを誓おう!」



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