フワフワした生クリームの乗ったケーキ、外から差し込んでくる太陽の光で透き通って見える紅茶、よく分かんないけど見た目は派手な料理。
それを置いた机を囲んで、旅の女仲間達や彼女達の知人らしい女子達は楽しそうに何かを話している………うん。
「何でこんな所に居るんだろ、私………」
『ナマエ、食べれそうなの持ってきたよ』
「お、ありがとさん。要ったら気が利く」
話に混じっていた筈の要が、確かに自分でも食べれそうな料理を小皿に乗せて持ってきてくれた。
彼女が自分の隣に移動してくるのを見つつ、受け取った皿の上のパスタにフォークを指す。
『混ざらないの?』
「あーいう女っぽいの、苦手なんだよね……そういう要は?」
そう聞けば、要は小さく笑いかけてきた…つまり楽しいらしい。
何故この様な状況になったのか、言い出しっぺはジョセフのじいさんで、年頃の女子が遊ばないでどうすると泊まっていたホテルを追い出されたのが一時間前。
伊緒と綯子と碧が行ってみたい店を選び、それを要と微笑ましい目で見ていたのが40分前。
突如スタンド攻撃と推測されるモノを受け、何故かイタリアにいてしかも要や綯子の友達と全く知らない二人に会ったのが、30分前。
「知らない奴とよく飯食べられるね……あ、このパスタ美味い」
「私は食べられるよ、だって面白いし」
「ん?」
パスタを食べつつ前を見ると、自分と同じように銀髪を後ろで括っている女がいた………確か。
「ノエル……だっけ」
「初めまして。君のスタンドって服なんだよね?私のスタンド能力で君の性別を変えたら、スタンドも形が変わるのかな?やってみない?」
「はっ、自分の好きな男にでもやってな」
「えー、まぁ良いや」
どっちだよ。と突っ込みたくなったが、横にいる要から物凄い視線を感じるので止めておく。
試しにそちらを見れば、何故か要の目が輝いていた。
「………要、思ってることを全部文章にしてみなよ」
そういうと、手持ちの紙に長々と文章を書き出した要。
差し出された文章を見て……目を細めた。
『ナマエがスタンド着て、綯子ちゃんの箒乗って碧ちゃんに重力と体重を無くしてもらえば完璧に魔法少女になれるよなって思った』
「………話は変わるんだけどさぁ要」
今の話題は駄目だ結局最後に死ぬのは自分だ回避しなければ。
首を傾げる要に、笑いかけた。
「シーザーのじいさんとどこまで行ったの?」
「………?」
そう聞くと目を細める要。
暫く何かを考え、皆が集まっている方へと歩いていったかと思えば何故か伊緒と碧を連れてきた。
つまり生け贄らしい………ちょっと待て質問の意味分かんなかったのか。
「ナマエちゃん、要ちゃんが呼んでるって教えてくれたけど…どうしたの?」
「………相手が分かるこいつらだけでも聞いてみるか」
「な、何を質問する気…!?」
要のように首を傾げる二人。
うん、良い鴨だ。
「男子勢が居ないから聞くけど、伊緒って典明のことどう思ってんの?」
「………は?」
「碧もさ、あの裂ける電柱のどこを気に入ったの?」
「………」
「簡単に言うとさ、二人共お相手さんとどこまでいったの?」
おっと碧が固まった、単純な質問だったのに。
そんな碧を見ていると、真剣そうに首を傾げていた伊緒が何かを閃いたらしく、不敵な笑みを浮かべてナマエを見た。
「なら、ナマエちゃんは空条の事どう思ってるのさ!」
「身長が無駄に高い若造」
「そういう事じゃないからぁぁぁ」
『ナマエ、二人を余り苛めない』
状況を傍観していた要にそう言われ、手をヒラヒラと振りつつ器用に皿の上の料理を食べ終える。
どうやら、これ以上聞いても答えは返ってこないようだ……まぁ、個人の事情に首を深く突っ込んでも良いことはないので別に良いが。
「序でに聞くけど、これ会計誰持ち?」
『ビーかな』
「ん、了解」
皿をさりげなくノエルの皿の上に重ねて、要の言うビーことベアトリスの方へと歩み寄る。
その側に居るのはタッツィーナという名前の女だ………挨拶をする際に血の匂いが微かに香ってきたので恐らく同業者か、そっち方面の職業なのだろう。
「やっほー熊ちゃん、タッセちゃん」
「………熊ちゃん?」
おい、養豚場の豚を見るような目でこっち睨んできたぞ。
タッツィーナは自分の事だと分かったようだが、タッセの意味が良く分かっていないのかケーキを頬張りつつ首を傾げていた。
「“ベア“トリスだから熊ちゃん。タッツィーナはイタリア語でコーヒーカップっていう意味だけど、カップはドイツ語だとタッセって言うんだよ。知ってた?」
「…ボス並みに下らないこと考えるんですね」
「君の言うボス、今頃涙目になってると思うよ」
因みに、ベアトリスは愛想はないが戦い方が似てるので親近感が沸く。要や綯子、ジョセフの恩人らしいのでそれだけでも好感度は上がるが…多分言ったら伊緒経緯でジョセフに伝わるので絶対に言わない、そもそも次いつ会えるか分からないのだ、胸に秘めておこう。
「えっと、それでナマエさんはどうしたんですか?」
「否、注文表誰が持ってんのかなって思って」
「私ですが、それが何か?」
「ふーん、貰っとくよ」
「は?」
少しだけ動揺したらしいベアトリスを放置し、彼女の鞄に入っている注文表を勝手に手に取る。
ポケットから縮小している財布を取り出して拡大し、中身を確認する。
…大丈夫だ、ギリギリだが問題ない。
「今頼んでる分の会計はやっとくけど、この後頼むもんはそっちで払ってね」
「え、ナマエさん帰るんですか?」
「ハァーーッ!? 嘘ッ本当に!?」
タッツィーナの言葉に伊緒が反応して駆け寄ってきた、転ぶぞ。
「もっとお菓子食べなよ!美味しい店に来たんだし!」
「生憎、私甘いの苦手なんでね。お菓子とかは女子らしいあんたらで楽しんでちょうだいな」
「そっ、それにどう帰るか………スタンドかもしれないし!」
「適当に歩けばスタンド射程距離から外れるでしょ」
そこまで言うとしょんぼりする伊緒。可哀想だが、そもそも自分にこんなキラキラした集まりは合わないのだ、諦めてもらおう。
―――だが
「んで結局、典明といつ結婚すんの?」
「最後の最後で意図が読めない質問してきたぁっ!!」
恋愛関係で他人をからかうのは自分に合っているとは自覚している。
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あれ、これお題にちゃんと沿えてる?と思いつつ提出しました、音国心です。
変な文章で申し訳ないですが、皆さんの夢主ちゃんの台詞考えるの凄く、楽しかったです………!!