結局、野球盤遊びに夢中になって、気付くと「時代越し」がもうすぐだった。テレビを点けると、年末にやるような番組をやっていた。
「いやあ、今年は正月が二回来るような気分だね」
「じゃあ、おせち料理でも食べる?」
「ははは、いいねえ。明日、スーパーで何か手に入ったらそうしよっか」
 僕の冗談に乗ってくれる。そういうノリのいいところだって。

『0:00』

「あ、時間変わったよ……んっ!?」
 急に視界が暗くなった、と思ったら、唇を塞がれているらしい。しかも、ソファーに押し倒されているらしくて。
「ん、ん……っ」
 僕は深いキスを許した。そこから先に繋がることはないけれど、愛情を確認するための、大事な儀式。
「……っはあ、はあ……っ」
 唇が離れて、僕が息を乱しているのに、彼女は涼しい顔で。その余裕をぶっこいた顔、嫌いじゃない。
「ようこそ、令和へ」
「……よろしく、この時代も」


(平成三十一年四月三十日〜令和元年五月一日)


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