ホットかアイスかA

「本日は素晴らしい秋晴れとなりそうですね!見てくださいこの景色!週末は家族連れで賑わいそうですが…」

朝食のサンドイッチを口に運びながらテレビを観ていると、
紅葉が山を真っ赤に埋め尽くしている映像が写っていた。

(そういえば…あいつ出張で京都行くって言ってたな)

あの一件で翔と陽平は晴れて恋人同士となったのだが、
会社の損害は思ったよりも大きく、ここ1ヶ月は巻き返しを図るため社員全員働き詰めの毎日だった。
お陰で二人でゆっくりする時間もなく、むしろ前よりも会えない時間の方が多くなっていた。

(…メールの一通ぐらいよこせよ…)

最後の一口を頬張り、しゃーない洗濯でもして買い物でも行くかと予定を立てながら席を立つと玄関からチャイムが聞こえた。

「はーい」

宅配便かとインターホンを見ると、
最近ろくに会えていなかった陽平だった。
慌てて玄関の扉を開けると、性急に抱き締められ息が詰まる。

「翔」

何だかくすぐったくて胸に顔を埋めると、陽平は翔の頭を優しく撫でた。

「ごめんな、時間作ってやれなくて」
「ここ1ヶ月は忙しかったしな、しょうがないだろ」
「翔もいそがしかったもんね」

そう言うと翔の額にキスをしてきた。久しぶりの陽平は酷く甘やかしてくるためか翔はだんだん落ち着かなくなってきた。

「翔は今日と明日休みだっけ?」
「そうそう、ってかお前京都行くんじゃなかったか?」
「いや、断ってきた」
「え?」

出張って普通断れないんじゃと思っていたが、同僚が働き過ぎだと代わってくれたらしい。

「今回は重要な会議というかは親睦会みたいなのだからね、大丈夫だったみたい」
「マジか優しすぎだろ」
「今度何かお礼しないとな」

お陰で俺も2日間休みだぞと笑顔で言われて翔も笑う。

久しぶりにゆっくり出来そうな予感に、
翔は二人で出かける予定に変更だと心を踊らせた。

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