Long story


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伍拾漆――時を越えて、再び

 人間は憎しみの対象でしかなかった。
 実に自分勝手な生き物で、自分たちとは違う存在を絶対に認めない。少し見た目が違うだけで化け物だと恐れ、少し妖力があるだけで魔物だと恐れ、少し体格が大きいだけで人食いだと恐れる。だから人間たちが怖がらないように山の奥に身を潜めた。そうすれば、どちらも平和に暮らせるだろうと思った。
 だが自分勝手な人間たちはそれだけでは納得せず、自分たちとは違う存在がこの世に存在することすら許さなかった。
 どうして土地を奪われ、家を壊され、家族を殺されなければならなかったのか。その理由は簡単で、人間が一番多い種族だったからだ。だから人間は自分たちだけが今後も生き残るために、自分たちとは違うものたちの存在を認めなかった。



 何も悪くはなかった。

 何も悪いことなどなかったのに、ただ人間と違うというだけで何もかもを奪われたのだ。


 憎かった。

 人間が憎くて憎くて仕方がなかった。

 憎しみがいつしかその鬼を修羅と化し、多くの人間を死の恐怖に陥れた。
 そうして数百年の月日が流れた。


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