Long story
真っ暗な画面。
『おねーちゃーん』
誰かの声がした。
幼い少女の声、2つの声が揃っていた。
『━━、━━』
別の誰かの声がした。
ざわざわとノイズが邪魔をして、何を言っているのか分からない。けれど、その声の主が先程の少女たちよりも大人だということは分かった。
『おねえちゃん、━━ね、おねえちゃんのことだいすき』
『━━も、━━もだーいすき』
幼い少女。
知らない、いや…知っているような声だ。
ノイズがうるさい。
『わ━━、━━と━━━よ』
急にノイズが激しくなる。
何を言っているのか、ほぼ聞き取れなかった。
『じゃあ私は?』
この声は。
『おねえちゃんも、だいすきっ。でも、にばんめね』
『2番目にしてくれるの?ありがとう』
『じゃあ━━はいちばんっ。いちばんすきっ』
『本当?とってもうれしい』
この声は━━知っている。
実際に聞いて知っているのではなくて、先程から何度となくこの映像を通して聞いている声だ。
いや…違う。確かに、聞いたことがある。その肉声を。
『おねえちゃんは?』
『おねえちゃんは━━のことすき?』
子供たちの無邪気な問いかけに、くすくすと笑う声が聞こえる。
『ええ、勿論。貴女達が大好きよ』
睡華は、そう、ハッキリと答えた。
『ほんとうに?』
『いちばんすき?』
ブツン、と、音が切れる。
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mokuji
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