Long story


Top  newinfomainclap*res





 心霊研究部。
 心霊研究部とは名ばかりのこの部活動の部員数2名。たった2名、それが常識的な見解だ。しかし、学校設立からこれまではずっと1人だった部員数が、2人いることが異例の事態だ。そもそも、部員1人で設立時からこれまで潰れずに放置されているというところに問題がある。
 だが、この部を潰すことはできない。それは同時に、おの高校を潰すことも同じだからだ。
 大鳥高校は開校から1ヶ月もしない間に廃校の危機に直面していた。原因不明の失踪、自殺の多発、その数なんと30人近く。そしてその失踪や自殺に関連してか、幽霊の目撃証言が多発し高校のイメージはますます悪くなる。このままでは、翌年の受験者がゼロに等しくなるのは目に見えていた。
 校長や理事長は頭を抱え、警察も全面協力の元原因を探るがサッパリ検討もつかない。廃校しか道がないのか。諦めも口を吐きそうだったその時、一人の生徒が名乗り出た。高校の近くにある、寺の息子だった。
 生徒はこの原因不明の不幸の原因は全てこの土地のせいにあるという。そして、自分の出す条件を飲めば、この土地の治安を、この学校が存在し続ける限り守っていくことを約束すると言った。
 校長たちは半信半疑だったが、藁にもすがる思いで生徒の条件をのんだ。もしこれで改善しなければ、生徒を退学にでもなんにでもしてしまえばいいのだ。
 状況はめまぐるしい変化を遂げた。行方不明者は次々と見つかり、自殺者は全くいなくなった。
 学校はこの学校が存在する限り、生徒の条件をのむことを約束した。生徒もまた、学校が存在する限り治安を守り続けることを約束した。
 そうして誕生したのが、心霊研究部である。以来、心霊研究部はその生徒の子孫が受け継ぎ、代々学校の治安を守っていくことになる。だから、ずっと部員は寺の子孫であり、その役目に選ばれた者ただ1人だった。

 夏川華蓮(なつかわかれん)は寺の子孫であることから強制的にこの学校の治安を守る役割を任されることになる。本人的には全く乗り気でなかったが、治安を守ることを条件として、全ての授業への任意参加の許可、遅刻早退の許可、そして学校内への365日24時間入校の許可という特別待遇が与えられている。つまり、全く授業に出る必要がなく、来たい時に学校に来て帰りたい時に帰れ、さらに夜中だろうが早朝だろうが好きに学校に出入りできるということだ。ただし、テストで赤点を取れば留年はするし、卒業もできないのだが。
 柊秋生(ひいらぎしゅうせい)は寺の子孫でないにも拘わらず、特別に受けている異例の2人目の部員である。秋生はその特別な能力から、心霊研究部の一員となる。ただ、華蓮と同じく全ての特別待遇が与えられているわけではない。遅刻早退、授業参加の任意は与えられているが、校内の常時立ち入りは、華蓮の同行がなければいけない。しかし、小学生のころから勉強が大嫌いで、遅刻常習犯だった秋生にとっては授業の任意参加と遅刻早退の許可さえあれば、それで十分だった。だから、華蓮からこの話を持ちかけられたときに、二つ返事で了承したのである。

 そして、設立から初めて部員が2人になった心霊研究部は、大鳥高校の治安を維持するために、日々奮闘しているのである。


[ 2/2 ]
prev | next | mokuji


[しおりを挟む]
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -