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日常 | 小話 | 落書



亞希と良狐と八都

良「お主にぴったりな日じゃのう」
亞「反論の余地もない俺を滅多打ちにする日と」
良「愉快じゃのう」
亞「そもそも裏切りの日なんて何で作ったんだ。何の記念にもならないだろ」
八「あの有名な、織田信長の本能寺が焼けた日だよ。何百年も生きてたらあらましくらい知ってるでしょ?」
亞「あー、あの男か。印象的だったからな、よく覚えてる」
良「会うたことがあるのか?」
亞「全国津々浦々殺し歩いたからな。焼けてる寺の中で少し話をした」
八「いやそれ、爆弾発言でしょ。信長の最期って色々逸話があって、自害の方法とか確たるものはないし、それどころか本当は本能寺で死んでなかったって噂もあるんだよ」
亞「あの男はあの場で死んだ。それは確かだ」
良「どのような会話をしたんじゃ?」
亞「誰にも口にしないと約束したからな。話したことも、死に様も口にする気はない」
良「ほう、わらわとの約束は破っても、通りすがっただけの武士との約束は守ると言うのか」
亞「いや、それは…ほら、後で話すよ」
八「軽いなぁ。信長さんも最後の話し相手間違えたなぁ」
亞「うるさい黙れ」
八「ていうか、その時そこにいたんでしょ?じゃあ、その後の秀吉が光秀を撃つところも見たの?」
亞「いいや、道中で出くわして道は教えてやったが…人間の生き死になど興味もなかったからな」
八「え、つまり秀吉に光秀の場所を教えてあげたってこと?また爆弾発言なんですけど」
亞「山の通り道を教えてやったまでだ」
良「修羅のなり損ないめ。そこはそなたが大手を振って撃ちに行くところであろう」
亞「それじゃあまるで、俺があの男の敵討ちをするみたいだろ。何で俺が人間のためになるようなことをわざわざ」
八「わざわざ道案内はしたのに?」
良「そもそも、手当たり次第に人間を殺しておったのじゃろう?なぜその秀吉のやらは殺さなかったのじゃ?」
亞「皆殺しにしてやろうと思って入った寺が燃え出した上に、やっと見つけた人間が死ぬ気満々だったら、殺す気も失せるってもんだろ」
八「で、見つけた人間も殺さず、帰り道の道中で会った人間も殺さず?」
良「つくづく修羅に成りきれぬ甘ったれじゃの。だらしのない」
亞「そんな気分じゃなくなったんだよ」
八「それはつまり、信長との会話が心境の変化をもたらしたの?」
亞「さぁな」
良「そうとしか言えまい。時代的に言うて、死に損のうてわらわの元にやって来たのもそのすぐ後じゃろう」
八「つまり、信長のおかげで亞希は修羅の道から遠ざかったってこと?」
良「それは大げさであろう。こやつの豆腐メンタルなら、そう待たずして同じ結末になっておったわ」
亞「酷い言い草だな」
良「わらわを裏切ったのは誰じゃ?」
亞「……俺です」
八「まさに何を言われても、是非も及ばずってやつだね」
亞「お前、それで上手く締め括れた気になるなよ」


主従関係が出来上がっておりますね。
裏切りの代償は大きいものです。

2018/06/02 14:10



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