短編小説ログ | ナノ


※静雄×臨也と津軽×サイケ



それは突然に起こった。
…誰がこんな展開を想像しただろうか。








年が明け、テレビ画面には大きくHAPPY NEW YEAR!!と表示され新年を迎えた事を知らせていた。画面の中でたくさんに人が歓声を上げて新年を喜んでいる。臨也もまたこれから始まる新しい日々に胸を高鳴らせ、口元を釣り上げて不敵に笑った。
臨也がそんな酷い考えをしている事を知ってか知らずか、静雄は小さくため息を溢す。すると、共に腰かけるソファーがギシリと揺れた。


「いざや! ちゅー!」
「ちょ、ぅん、」


ソファーの後ろからサイケが身を乗りだしいきなり臨也の唇を奪ったのだ。臨也の隣で瞳を丸くする静雄と困ったような顔でサイケの隣に立つ津軽とは裏腹に、臨也は呆れたように息をつきサイケの頭をぽかりと優しく叩いた。


「こら、何してんだ。」
「いざやと今年、初ちゅう!」


ねえ〜、と首を傾げながら桃色の瞳が細くなる。きゃっきゃっとサイケは笑うと、臨也も釣られて微笑んだ。そんな2人を見て、津軽と静雄は何度か目を瞬かせる。可愛い。
年明け、初っぱなから胸がドキリと高鳴なる。そしてその鼓動の高鳴りに忠実に従い、先に動いたのは津軽だった。
津軽はソファーの背に寄りかかり臨也と笑い合うサイケの頬にそっと触れる。自身の方を向かせると、そのまま唇にフレンチキスをひとつ。

あ、と臨也は口を開けビキリと固まる。そしてお前なに突然盛ってんだ、と謂わんばかりの形相で津軽を睨みつけた。
だがサイケは、ぱああっと表情が一層明るくなり津軽の首に飛び付いたのだった。


「津軽とも初ちゅーだね!」
「ああ。そうだな。」



津軽は幸せそうにサイケの黒髪を撫で、サイケのヘッドフォンから伸びるコードが嬉しさを表すように跳ねた。
呆気に取られている臨也の肩を静雄が叩く。臨也は未だに薔薇が舞うサイケと津軽を一瞥し、今まで一言も喋っていなかった静雄にギギギ、と音が出るのではと思う程に動きが悪そうに、視線を向けた。


「………いざ、」
「絶対にしないし。」


静雄は顎に指を絡ますがぱしりと臨也は叩いてそれを阻止する。静雄の行き場の失った手が空を切ってまた膝の上に逆戻り。ふん、と臨也は足を組み直し真剣に観ていた訳でもないテレビ番組へと顔を向けた。

だがここで引き下がる池袋最強ではなかった。新年、2011年が始まって未だ数分。新しい年を迎えるにあたり、ここで立場をはっきりとしておかなければ後に響いてくる。よし、と静雄は何かを決心し、臨也ではなくサイケと津軽の名前を呼んだ。


「津軽、サイケ。」
「なぁに? しずお。」
「……?」


臨也も呼ばれはしないが何をするつもりかと、静雄をチラリと横目で様子を窺う。サイケと津軽はイチャイチャと抱き合うのをやめ、首を傾げた。


「年も明けたしよォ。姫初め、すっか。」


はあ?! と臨也が声を上げるよりも早くに静雄は臨也の腕を取る。そのままぐいっと引かれれば必然的に静雄の胸の中に飛び込む形となった。いやいやいや! と臨也は静雄の胸の中で批難の声を上げる。

そんな中でサイケの間抜けな声が響いた。


「ひめはじめ、って何?」









「ちょっとシズちゃんマジで死ね!」


静雄は臨也をソファーを押し倒し、黒のVネックをたくし上げる。臨也の抵抗をものともせずにサイケと津軽が仲良く肩を並べながらソファーの空いているスペースに腰かけた。丁度サイケが押し倒された臨也を見下ろすような形になった。見られている、という事実から、かぁっ! と顔が一気に火照り、臨也は一層抵抗を強め足をばたつかせてみるがびくりともしない。暴れるなよ臨也、とさらりと言われ背筋に嫌な汗が伝う。


「え、ちょ、冗談だよね、冗談だよねっシズちゃん!」
「何がだよ。……姫初めってのはな、」
「ひめ初めってのはー?」
「サイケ! 聞かなくていいっ!」
「臨也、落ち着ついて。」
「津軽! 止めてよ!」


声を荒らげるが静雄は尻尾を振る犬のように興奮気味に姫初めについてサイケに説く。津軽は知っているようで、ふむふむとわかっているのかわかっていないのか曖昧な反応をするサイケを愛しそうに見つめていた。
しかし、臨也にとってそれどころでは無かった。新年早々掘られてたまるか。その一心だった。しかもサイケと津軽が居る前だ。絶対にそんな姿は見せられない。声だって聞かせたくない。ぎりり、と歯を噛みしめこの状況をどう打破するかを考えていると、姫初めについて話し終わったのかサイケの桃色の綺麗な瞳と視線が交わった。


「姫初め、しよっか!」


――…新年、初えっちですね!
サイケは何故か楽しそうに笑い、臨也の露になった額にキスを落とした。

サイケの言葉に、静雄はよしっ! と声を洩らし津軽は直ぐ様サイケの唇を奪っていた。


(この金髪共、共犯か…ッ!)


新年はまた始まったばかりである。



(20110103)

ただ可愛い受けっ子とヤりたいだけの攻めっ子達(笑)
サイケに甘い臨也と興味津々なサイケ。流される黒髪組。

続きます!
続きはR18なので18歳未満の方はここまでです…。
こんな始まりですが、今年もよろしくお願い致します!

title by zinc
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -