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(体育教師×保険医)




4月。新学期の、はじまり。


ぴっちぴちの一年生が入学して数日。
桜は満開。花見日和だねえ。
そんな花見日和な今日。
学校というと新学期が始まり忙しい毎日。
まあ保険医の俺は今までと対して変わりはない。

謂うならば、
最近主催の体育委員会がせわしない。


確か、これから親睦を深めるために学校全体で球技祭を催す、だったかな。


新しい委員になって初の大仕事だ、大変なのだろう。

だからシズちゃんも。
体育教師である平和島静雄も、珍しく仕事をしているようだった。
まあ彼はやるべき仕事はしっかりと片付ける人間。
じゃあなんで「珍しく」なのかって?
そりゃ、あの平和島静雄が生徒の話を聞いてクラスとクラスを行き来して荷物を運んで………なんて姿を見る機会、年間通しても片手で数えられるぐらいだ。絶対。

「ヤンキー教師」と名高い、平和島静雄。

金髪に頭を染めている、という点とタバコのイメージが強いんだろう。言葉も汚いし。
それと呼び名の通り、昔はヤンキーだった……と噂が流れていたり。まあ実際は違うけど。シズちゃんは似非ヤンキーだ。
重量のある体育用具をいとも簡単に運びあげたり「怪力教師」とも呼ばれていたりする。
(決して本人の前では呼ばないけどね、生徒たち)

だが23歳という若さもあり、女生徒からは密かに人気があったりもするんだよね。
そこがムカつく。
俺だって負けてないけどさ。


まあ、シズちゃんのジャージ姿はすごくかっこいいのは、わかる、け、ど。



んで、俺は何をしてるって?
まあ人間観察かな。趣味だよ。
本当はいつ怪我人が舞い込んでくるかわからないから常に保健室に居た方がいいんだろうけど……俺は人間が好きでさ。
校内には沢山の子供たちが居て見てて飽きないんだよ!
だから俺は放課後になると校内を散策してる訳。
途中でシズちゃんを見つけたらいい感じにからかうつもり。

怪我人が来たらどうするのかだって?
あぁ大丈夫でしょ。
放課後だしそろそろ部活動も終わる頃だから、保健室に来るぐらいなら直帰したほうが早いだろ?

って言ってるそばからシズちゃん発見。
おぉ。珍しく女生徒と歩いてる。
彼女は確か体育委員の子だったかな。
球技祭の話、なんだろうけど。


(なーんか気にくわないなあ)

「…………あ、」


チラリ、とシズちゃんがこっちを見る。
けどシズちゃんは視線を向けたかと思うと、すぐ生徒の方に視線を戻しちゃった。


………なに、今の。


確かにこっち見たよね?
目があったはずだよね?
うわ、何あれすっごい腹立つ。
無視されたよ、平和島静雄に。
あのシズちゃんに。

あーもう退散しよ、











キーンコーンカーンコーン。

部活動の活動終了の終わりを告げるチャイムが校内に鳴り響く。
俺の仕事も終了かー。
とりあえず今日はケガ人が少なくてつまらなかったなあ……とか思ってたら物凄い音を響かせ保健室のドアは開かれたんだけど……なんだよ一体……なんて考えなくても分かるけど。
深い深いため息をする俺とは裏腹に、台風のように現れたシズちゃんは我が物顔で椅子に座りやがった。


「何しに来たんだよ」
「ケガしたから来たに決まってんだろ」
「何で体育教師がケガすんの?何なの?バカなの?死ぬの?つか俺、勤務終了しましたお帰りください」
「うっせーな早くしろよ俺にはまだ仕事あんだよ」
「シズちゃんの予定?なにそれ、おいしいの?」
「………手前…」


うわ、シズちゃんに呆れられた。ムカつくなあ。
さっき無視されたのを根に持ってる訳ではない。決して。


「んだよ、さっき無視したの根に持ってんのかよ」
「………んな訳ないだろバカなの?」
「俺が女生徒と居たからか?」
「はあ?なにそれ?自惚れてんの?」


まあ全て当たってるけど、絶対にそんな事言ってやらない。
つか言い当てられてるのもムカつくし。
しかもケガした、とか言った?
ただ指の先を切っただけじゃん。そんだけで保健室に来んな。


「おい、臨也、絆創膏よこせ」
「……本当にそれだけのために来たのか……かっこよく“舐めときゃ治る”とか言えないのかよ……はい絆創膏」

「本当はケガなんざどうでもいんだよ。手前に会いに来るついでだからな」


ここさ、一応保健室だけどさ、密室空間なんだよね。
あのさ、音がさ、反響してさ、耳にさ、残るからさ……
あーもう恥ずかしい。意味わかんない。嬉しいとかはいはい黙って俺。



平和島先生と折原先生




絆創膏を受け取ろうとしたシズちゃんの手が絆創膏を通りすぎて俺の腕を掴んで、そのまま引っ張られて、……俺はそのままシズちゃんの腕の中に埋もれた。




(20100418)

保険医と体育教師って設定が活かせない\(^q^)/


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