短編小説ログ | ナノ


暴力描写あり





好き、だった。

だから、今日だって会いたいと思った。
だから仕事じゃなくても池袋に行った。
会いたくて。好き、だったから。

「あ、シズ――…」

いつものように60階通りをうろうろすれば、人ごみの中から頭ひとつとびててる金髪。
いつものように声をかけて、いつものようにケンカをするんだ。
そんな日常が楽しくて。
今日もそんな日常だと、思っていた。
平和島静雄の姿を見るまでは。
瞬間的に感じた“違和感”
視線が交わった瞬間、その違和感は現実のものとなる。


逃 げ ろ !


誰ともなく、自分自身が自分に向かって叫ぶ。
足がすくんで動かない。
強烈な“恐怖”が全身を駆け巡った。
ヤバい、ヤバい、ヤバい。
今日のシズちゃんは、本気だ。
嫌な汗が流れていくのがわかる、息だってうまくできない。
周りの人は何もないかのように歩いていくというのに。

シズちゃんが近づいてくる。
ヤバい、逃げなきゃ、逃げなきゃ、逃げなきゃ、逃げなきゃ!
逃げろ!!!!!

刹那、ポケットの中でごもったバイブ音が響いた。

「っ―!!」

走った。自分は全くもって体育会系ではないし、体力だってそうない。
だが、そんなもの、関係ない。
ただ、あの場所から逃げだしたかった。
走って、走って、走って。
ぜぇぜぇと息がきれて、ようやく歩いた。
何も考えず、ただがむしゃらに走ってきたせいで今自分が池袋のどの辺りに居るかもわからない。
シズちゃんに見つからないように路地に入って、息を、

「臨也。」

息が止まった。
嘘だろ、なんて考える前に手をとられて、目の前には案の定、平和島静雄の姿があった。

「はな、してよ。」

声が震えた。
シズちゃんから感じる“殺意”でもなく“苛立ち”でもない威圧感に恐怖する。
臨也と呼ぶ声はいつもとかわらない優しい声なのに、瞳は俺を映していない?

「離さねえよ。」
「ちょ、シ――。」

ゴキリ、
鈍い音がした。

「ぃあ゛ぁ――っ!!」


あらぬ方向に曲がった腕。
手をとられたけだったのに。
シズちゃんの口からは「あぁ、折れちまった」と呆れるかのように呟かれた。
痛い、痛い、痛い、痛い―!

「離、せよぉ!」

痛みを歯を食いしばって耐える。
言葉通り手を離すシズちゃんに、自分のできる限りの睨みを飛ばす。

折れた腕に衝撃を与えないようにしながら、早くここから逃げ出したくて、早く、早く、早く――。

「待てよ、臨―…。」
「っ―…嫌だ!!」


ミシッと肩がしなった。
ただ肩を掴まれただけなのに。
また折られるのだと恐怖して、瞬間的にシズちゃんの手を振り払った。
勢いよく振り払ったせいで、足を滑らし地にふせった。
なんて無様な格好なんだろう。
どうしてこんなことになったんだろう。

砂が口にはいって気持ち悪い。
折られた腕は痛みを通り越して熱い。
早く、逃げたかった。

「い゛ぁあ゛ぁあ!!!!!」

「なんで、逃げんだよ、臨也…」

右足が動かない。
感覚がない。痛い。熱い。痛い。
折られた。また折られた。足を折られた。動かない。動けない。逃げられない。逃げたい。逃げたい。怖い、怖い――…!

涙が止まらない。
痛みのためか、そうじゃないのかもわからない。
なんで、なんで、

「なん、で…」
「いざや、」

いざや、いざやイザヤいざやイザヤ臨也いざやイザヤいざや臨也――…
シズちゃんの口から、泣きそうな声で紡がれる俺の名前。
なんでそんな悲しそうな声なの。
ねえシズちゃん。
どうしたのさ、シズちゃん。

「臨也――…好きだ。」


わからない。
シズちゃんがわからない。
なんで?なんで?
なんでそんな優しい声でそんなこというの?
じゃあなんでこんなことするのわからないわからないわからないわからないわからない

「ぃや、だ…」

地を這った。
逃げたかった。
シズちゃんの事が大好きだった。
好きだという言葉だって聞きたくて聞きたくてたまらなかったはずなのに。
嬉しいなんて感情、全く沸いてこなかった。

(ぃやだ、シズちゃん、嫌だ)

怖い、逃げたい、あぁダメだ、捕まった、ゴキリ、折れた、今度は左、痛い、痛い、痛い、痛い――…


(好き、なのに)



い肌に流れる



「だい、きらい…!」

止まらぬ涙が嫌だった。



(20100227)

ヤンデレなシズちゃんも嫌いじゃない。
……でももう二度としない…orz

殴り書きしたから適当すぎる\(^o^)/
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