charmed!
「ここだよー!」
目的の人を見つけ私は大きく手を振った。
私の声に反応し、その人はキョロキョロと首を動かすと、やっと私の存在に気づき軽く笑顔を見せた。
手を小さく挙げて、小走りとこちらへ向かってくる。
「悪ぃ、遅くなった。待ったろ」
「ううん。だいじょーぶ!」
なーんて、本当は結構待ったけどお決まりの台詞を言ってみる。
でも別に待ったからってそんなことはどうでもいいんだ。
なんてったって、シカマルとデートだもん。それだけで私は今かなり浮かれてる。
浮かれ具合が隠せずにニコニコと笑っていると、シカマルは私の頬に手を触れた。
「ウソ。すげー冷てえじゃん」
そう言いながらシカマルの眉間のシワがグググと寄る。
「うーん。でもへーきだよ?ほんと」
「……………」
「しかまる…?」
「とりあえず、どっか入んぞ」
そう言ってシカマルは私の手をギュゥと握ると歩き出した。
引っ張られるまま慌ててシカマルの歩幅に合わせると(といってもシカマルは私の歩幅に合わせてくれるんだけど)シカマルの顔を覗き込んだ。あ、さっきよりも、渋い顔してる。
別に、気にしなくてもいーのになー…。
でもそんな顔がちょっと嬉しくてニコニコが止まらないんだけどさ。
つーか、それにしてもシカマルの手、
「あったかーい」
「あー、ずっとポケットに手つっこんでたしな」
「ふーん。手袋は?」
「持ってねーし」
「えー?持ってないの?もう冬なのに…」
「つかこの前まで暑かったじゃん。温暖化うぜー」
「ねー」
「しかも、今日は特別に寒ぃし」
「だよね。…ねえ」
「なんだよ」
「ごめんね?」
「…あ?なにが」
急に謝ったもんだからシカマルは驚いた顔をして私の顔を見下ろした。
その目は、でもすごく優しくて私は甘えるようにシカマルの顔を見上げた。
「……。忙しいのに、わがまま言って」
「はあ?なにが」
「だから、デート」
ポツリと呟くと、上から「ハッハ」と笑い声が降りてくる。
「なにおまえ、そんなこと気にしてんの」
「そんなことって…!だって、そりゃぁ、私だって申し訳ないなってぐらい思うし…」
最近シカマル、任務任務で忙しそうだったし。
だから、余計にじゃん。
なんて言うと、シカマルはクククと喉を鳴らしてまた笑う。
「わがままは言うくせにな?」
「な!」
むっと、シカマルを見上げると、ヤツはからかうように笑っていて。
「もう」
「なまえのくせにそんなこと考えてんじゃねーって」
「なんだって!」
「別にオレ、お前のわがまま嫌じゃないし」
「…え」
「つか、オレも、わがまま言いてえし」
「…………」
「"会いたい"とか"寂しい"とかお前良く言うけど。お前が言わなかったら、オレが言ってーかもしんねえだろ」
「し、か…」
「オレもすげーわがままだしな」
そう言ってシカマルは照れたように眉間をグググと寄せると、私の頭の上にポンと手を置いて撫でた。
「だから、別に言っとけ。わがまま」
「…し、〜〜〜か!!!」
嬉しくて嬉しくて、思わず外だってことも忘れてシカマルにギュゥとしがみついた。
「好き!スキスキスキスキ!」
すりすりとシカマルの腕に頬を擦り付ける。
シカマルは「ちょ、なまえ!見られてる!」なんて焦りながら私を剥がそうとしてるけど、そんなことは無視をして抱きしめ続けた。
シカマルの抵抗がなくなり、諦めてくれたのかと顔を見上げると、なんとも愛おしそうな目で私を見ているシカマルと目が合った。
シカマルは驚いてすぐさま私から目線を外し渋い顔をしたけれど、もー遅い。
「でへ、へへへ」
「きめー」
「うふふ」
「…はあ」
「シカマル」
「あ?」
「シカマル、私のこと好き?」
「……………、ったりめーだろ」
空いてる片方の腕を回して、シカマルは当たり前のように私をその中にすっぽり入れた。
charmed!
「…しか、見られてる」
「よく言ーぜ」
そういって、シカマルはクククと喉を鳴らしながら笑った。
→あとがき
そんな男らしいシカ様に全力で惚れてます。
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