カームダウン




「俺の勝ちだな、」

「ちょ手加減しなさいよ!」

「ハア?するわけねーだろ」

楽しそうにテレビ画面を見るシカマルに自然と目が細まる。


「ふつー女の子に勝たせようとするんじゃないの」

「ぐだぐだ言ってねえでもっかいすんぞ」

「やだ、つまんない。」


ポイと乱暴にWiiのリモコンをソファに投げ捨てた。
本日はシカマルの誕生日。
おめでとうパティで、Wii一式を持ってきたのが間違いだったのか、まさかコイツこんなに強いなんて思わないし。



「なんだよ、拗ねてんのかあ?」

眉をあげて楽しげに笑うシカマルにぶーたれる私。


「拗ねてないし。これは正当な感情だから拗ねにならないね」

「めんどくせーこと言ってねえでやんぞ」


Wiiのリモコンをこれまたご機嫌に操作していく。
私はそんないつもと違うシカマルに違和感を覚えてしょうがない。



「なんか今日ご機嫌さんだね、」

「そうか?」

「うん。」


だってさ、シカマルっていつもそんなんじゃないじゃん。
なんていうのかな、別に無愛想って言わないよ。だけどさ、なんていうの、いつもやる気なさげでなんか頼りになるようなならないようなよくわかんないし、そんなるんるんじゃないじゃん。ちょっと今のシカマル怖いよ。
いつものシカマルはさあ、なんて言うのかなあ。
あ、シカマルだけにしかめっ面。なんつって。



「全部口に出してんぞ。」

つか最後のなんだよさみーぞ。と眉間に皺を寄せるシカマル。



「うん!そうそんな顔がしっくりくる」

「おいコラお前何気に失礼なこと言ってんの気づいてんのか」


軽く私の頭をゴツくシカマルに私は「いてて、」と頭をさすった。

そんな私をまたご機嫌に楽しそうに眉を上げて笑っていて、だから、その顔だよ。
なんか、ちょっと、いつもと違うシカマルに、私は違和感ばかりで、
少しだけ、ほんの少しだけ、ドキドキしちゃって、




そういえば、シカマルの家に二人でいるのって意外と今日が初めてで、
あれ、なんで二人で誕生日祝おうってことになったんだっけ?
最初は皆と一緒にってことになってなかったっけ?
それがみんな予定が合わないだなんだってなって、じゃあ二人で遊ぶかってなって、
じゃあゲーム持ってくるから遊ぼうねってなって、それでだ、よね。


そんなことを考えていたら先ほどまで意識していなかったこの空間が急に気になりだして、
私は落ち着きなくシカマルの部屋をぐるりと小さく見渡した。


ごちゃごちゃしてなくて、まあキレイで。
でもテレビ付近には私が持ってきたWii以外にもたくさんのゲーム機があったりそこは男の子の部屋って感じで、机には昔みんなで撮った写真がちゃんと飾ってあって、


ベッドには………、


ってなに!私ったらベッドってなに!変態か!







「つかよ、そろそろいいよな、」

「へ?」


ななななにを急に、そろそろって、そろそろってえ!そんな私心の準備が、











「プレゼント当然持ってきてんだろ、」



「…………………あるよ。」

「なんだよ急にぶさいくな顔すんなよ」




なにそれちょっと紛らわしい言い方しないでくださる?

私は精一杯ぶさいくな顔をしてシカマルを見つめる。
シカマルは急に不機嫌になった私を怪訝そうに見つめながらも、ちゃっかり手をだして「くれくれ」とでも言うように手を曲げたりしてせかす。
そんなシカマルに、私の顔はどんどんぶさいくになっていく。




「なに怒ってんだよ、」

「怒ってないし、怒るわけないし。怒ってるって認めたら私本気で変態じゃん」

「変態?」

「べべ別になんでもないし」

「なまえちやんもしかして、」

「変態じゃないもん!」


ニヤニヤしだしたシカマルに感づかれたと、私は慌てて叫んでしまったけどもそれは完璧裏目に出てしまっていて、
シカマルは腹をかかえてバカ笑い。



「おま、なんだよ!ハハハ、俺を、ハッハ、こ、殺す…ハハハ気か…ハハ!」

「そんな笑わなくてもいいじゃないのさ!」

「腹いてーよ、ハッハ」

「もう知らない。プレゼントもあげないもん」

「あ、ちょおい。それはダメだろ」

「うるさい。シカマルがそんな笑うからじゃん。乙女の気持ちを傷つけたんだから」

「なんだよ。押し倒せば良かったのかよ」

「なななななな」

「落ち着けお前。」


動揺しすぎて持っていたプレゼントがガッタガタと揺れる。
そんな私をシカマルは若干引いた目で見たけどすぐに可笑しそうに笑いだして、


「嘘に決まってんだろ、しねーよ」

「くたばれ」

「一応自分のこと女の子っていうならそんな言葉遣いはダメだろ」


意地になって怒る私をシカマルはこれまたこちらがカチンとくるように楽しげで、
からかわれているのはわかっているけども、それが余計に腹が立つわけで、



「もう本当にプレゼントあげないからね」

「別にいらねーよ、違うのもらうから」

「え、」

「キスとか」

「キキキキキキキ、」

「悪い。冗談だから落ち着け」










カームダウン











「俺が悪かったよ、な?ちゃんとプレゼントもらうこれでいいな」

「う、うん」

「よし。」

「あ、」

「ん?」

「お誕生日おめでと」


「…どーも。」


そう言ってシカマルは少しテレたように笑ってプレゼントを受け取った。











→あとがき

シカマル誕生日おめでとう!
一生大好きヽ(゚∀゚ )ノ



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