アイミスユー。




「…ええ?、また会えないの?」

「悪ぃ。任務入った」

「…まあいいけど。」

「っていう声してねえぞ」

「……。」


そんな声したくもなる。

明日はシカマルとデートだと胸を躍らせていた前日の夜にこの電話。

これで何回め?5回目じゃないの?しかも連続で、連続で!れ、ん、ぞ、く、で!
心の中で叫んでみた。いくら良い彼女だったとしてもこれでぶーたれない女はいないと思うけど、
私、間違った感情してないよ絶対。


「そんな怒るなよ。しょうがねえだろ」

「そうだね、」


でた。「しょうがねえだろ」



「…怒ってる、か?」

「……別に。」

「…怒ってんな。」

「………。」

「だんまりかよ。悪かったって言ってるじゃねえか」

「なにそれ、」

「なんだよ。」


少しつっかかるような口調をすればシカマルはため息交じりに呆れたような声をする。
そんなシカマルの態度に私はいつもどうしようもない感情になる。




「……もういい、寝る!」

「あ、おい待て。まじで!」

「なによ。明日任務なんでしょ。あんたもさっさと寝れば」

「こんな状況で電話切るわけにはいかねーだろ、」

「どんな状況なのさ、別にどんな状況でもないし」

「怒ってんだろ。こんなんで寝れるか」

「寝れるでしょ。デートドタキャンするぐらいだからね、」

「お前なあ……、任務よりデート優先するってどうなんだよ…」

「わかってるよ!言葉の綾じゃんか!シカマルのアホ!」

「あーハイハイ悪かったよ。ったく、」

「そういうとこがムカつくのっ」

「ハア?」

「なんでもかんでも余裕ぶちかましてるとこが腹が立つの!別にシカマルは私と会えなくてもなんとも思ってないんでしょ!」

「ちょ、なんだよ急に、」

「私ばっかりデートできなくてがっかりしてるんでしょ!シカマルは私のことどうでもいいからそうなんでしょ!」

「おおお落ち着けとりあえず!」

「うるせー!ボケアホカス!」

「な――、」



ブチ。


勢いのまま通話停止ボタンを押して、携帯をベッドに投げつけた。
ベッドに乱暴に転んだ携帯が何故か虚しくて、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、自分が子供じみていることが恥ずかしくなった。
それでも、シカマルと会えないのはイヤで、だけどシカマルは私と会えないってなんとも思ってないんじゃないかって……、そう思うと、止められなかった。

自分の心のなさが、イヤに感じた――…。


































寝れなくてベッドの上で寝返りをうつ。
先ほどの電話のやりとりを思い出しては自己嫌悪。必死で涙をこらえるのが余計に感情を高ぶらせて、

もう駄目だって思った。
今度会うときは必ず話が出そうな気がした。「私たちのこれから」。それは前向きなことじゃない。


だ、けど。
そのほうがいいのかなあ……、
シカマルには私のいやなところばかり見せてる。見せすぎて、シカマルだからって甘えもあって。
あって、あって…、だから…、私なんかより、もっといい人がい、




ブーブーブー、





ぐしゃぐしゃになりかけた顔を遮るように握りしめてる携帯が揺れた。
垂れてきそうな鼻水をすすりながら携帯を開くと、それはメールで驚いたことに送信者はシカマルからだった。




frm シカマル
sb Rererererere

ちょっと外出てこい。






「………!」


携帯を閉じて私は急いで玄関に向かいドアを開けた。
開かれた光景に思わず心臓が一瞬止まった気がして、




「ど、して……、」

「よう」



確かに私の目の前にいるシカマルは照れくさそうに笑って小さく手を上げた。






「なんで、い、るの?」

「なんでいるのってなあ、」


久しぶりに見るシカマルの顔に少しときめいて、それが呆れた顔をしていようとも嬉しかった。


「明日から任務だし当分会えねえし、あのままってのもダメだろ」

「………別れ話しにきたの?」

「……はあ?」

「…………だって、」



小さくなっていく声。
俯いて、唇を噛んで込み上げてくる涙をおしこめた。
だけど黙り込んだシカマルに不安が込み上げて視界がボヤボヤとしてきた。
下に落ちそうになった涙と同時に、ボヤけた視界で見えたシカマルの足先がこちらに近寄ってくるのが見えて、
次の瞬間、私はシカマルの腕の中に収められていた。




「シカ…!」

「バーカ」

「え、」

「お前俺の話とことん聞いてねえな、俺明日任務なの」

「し、知ってる!」

「明日も早いのに睡眠時間削ってまで別れ話しに来るか?ふつー、」

「………?」

「会いたかったからに決まってんだろ、わかれアホ」

「シカマ、ル」


より力を込めて私を抱きしめるその温もりがとても心地よくて、私もシカマルの背中に手を回した。



「……ごめんね、」

「謝んなよ。俺こそ、悪いないつも…」

「任務だもん」

「……でも寂しくさせてるだろ」

「……うん。寂しい」

「やけに素直だな」

「……うん。」

「………じゃあ一緒に住むか、」

「うん。………え!」


ポツリと呟かれたその言葉に思わず頷いてみたけど、すぐに驚いてシカマルから離れた。


「驚きすぎだろ。イヤなのかよ」

「いいいいいやじゃなくてその驚いたというか…!」

「落ち着けよ」

「………いいの?」

「なにが?」

「……私で、いいの…?」


シカマルから目を逸らしてそう言うと、シカマルは無動作に私の頭を撫でまわした。










アイミスユー。











「お前がいーんだよ」











→あとがき

1万HITアンケートにて、
「すれ違い」と「ほのぼのor切→甘」
のシチュ内容を元に書きました!
アンケートご参加誠に有難うございました^^!



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