ホタルノヒカリ




「すげーな」

隣でシカマルが目の前に広がる景色に声を漏らした。私はチラっと覗き見すると無邪気な顔で笑っている。

(連れてきて良かったな、)

心の中で呟いて、私は繋がれている手をより強くギュと握った。



「キレイでしょ。子供の頃よく見に来てたんだ。蛍」

そう言って私は目の前いっぱいにフワフワと飛んでいる蛍を眺めた。シカマルはもう目の前の蛍に夢中になっていた。


「子供の頃さ、いつか絶対好きな人と見に行こうって思ってたんだ」

「へえ。叶ったじゃねーか」

無邪気に笑って私を見下ろすシカマルに私も笑って頷いた。


「蛍ってよなんで光るんだろうな、」

シカマルの腕が私を温かく包み込んだ。


「そうだね…」

「なんかよ蛍って、短ぇ人生だから俺はちゃんと生きてんだぜって主張してるように感じねえ?」

「……」

ポツリと呟くシカマルを思わず見上げた。

なんだかシカマルの言葉が私の心に深く響いた。確かに蛍は生きた証をこの光に託しているのかもしれない…。そう思うとなんだか悲しい気持ちになった。


「めずらしいね。そんなこと言うの」

「なんだよ、悪ぃか」

「ううんカッコいいこと言うからまた惚れた」

「そりゃドーモ」

テレてるのか眉間に皺がグっと寄っていて思わず笑みがこぼれた。


「なに笑ってんだよ」

「べーつに、」

ちゃらけたように笑うとシカマルも小さく笑ってまた蛍に目を向けた。


「連れてきてくれて、サンキューな」

「ううん。…来年もまた見にこようね」

「そうだな」










ホタルノヒカリ










→あとがき

今年の蛍もキレイでした。


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