14、キバの場合




「…………。」




「好きだ」



「………え」




「シカマルなんか忘れろ」

「キ、キバ!何言って…、」



「俺じゃ…、ダメか?」







「……うぐぇぇぇええええー!」


俺きめー!!
だああ!まじ、まじ、まじで、


消えたい。




先日の出来事を思い出しては死んでしまいたいくらい恥ずかしくなって大声を上げては脳内映像を掻き消す。
そんなことをここ2日繰り返している、永遠に。

なにを血迷ったのかなんであんなこと…、




「言うつもりなかったのによ……、」




「何がってば?」

「え、だからこく、」

「こく?」

「うわっ!なななななんだよ!」

「なななんだってばよ!そんなに驚かなくってもいいじゃんかよ!ビックリしたあ!」

「それはこっちのセリフだバカナルト!」

「ぬぁにぃ!」

「ぬぁんだよ!」


「オイオイ朝っぱらからケンカすんなよ。ったくめんどくせぇ」

「シカマル、…はよっす」

「おー」


いつものようにグランド集合する俺たち。
一番乗りだった俺に続きナルトが来て、そしてシカマルが来た。



…なんだか別になんもねーけど、気まじーような………、
いや別に勝手に思ってるだけだけど。

とか思ってるとまたあの時の映像が蘇ってきて、ループされる「好きだ」の冒頭。



「ぐああわあやめろおー!」

「ど、どしたキバ」

「あ、いやべべべ別に…!気にすんな!うん!」


ドクドクなる胸に手を押さえながらシカマルに笑いかける。
は”あ”ー、疲れるぜまじで。

落ち着こうと深呼吸を繰り返していると、ナルトがニヤニヤしながらシカマルの肩に手を回し出した。



「おーおーおー、シカちやんはよっす」

「……気持ち悪ぃ。離れろっての」

「見たってばよぉ?金曜日」

「あん?なにが……………、」


そう言いかけてシカマルは口を閉ざし目をすーと横に視線を外した。
あきらかに思い当たる節があるような顔で、
そして、ナルトが言わんとしていることはたぶん…、あの事だとわかった。



「シカちやんが女の人とちゅー………ぐはっ!」

「それ以上喋ったら殴るぞ」

「もう殴ったじゃんかよー!」

ナルトはシカマルに叩かれた頭を抱えてしゃがみ込んだ。
ちらっとシカマルを見れば少し頬が赤くなっていて俺は少し驚いた。


「お前も照れたりすんだな……、」

「ちゃかすなよ」

「あ、いや…、」


ちゃかしたつもりは全然なくてただそう思った。
こんな顔をするシカマルはどこからどうみても恋をしてる顔で、
「恋」なんてシカマルには一番ほど遠い単語だと勝手に思っていたししかも頬を染めてるなんて来たらそりゃあ驚くし、
あ失礼なこと言ってるけど、とにかく何故か胸がギュッと痛くなった。




こんな顔、あいつには絶対見せれねえよ……、






「まあでもお?我愛羅の姉ちゃんとうまく行って良かったじゃん」

頭を摩りながら立ち上がってそう言うナルトはもうニヤニヤなんかしていなくて、とても嬉しそうに笑っていた。


「お前らがいい感じだったのは前から知ってたし、なんか嬉しいってばよ」

ニカリと笑うナルトにシカマルはそっぽを向いて「ありがとな」と言った。
俺も「おめでとう」って言いたかったけど、
なんだかそんな気分にはなれなかった。


いくら告白するつもりはなかったとはいえもう言ったもんはしょーがねーし、
一応ライバルになるんだから、
そのライバルがいなくなるっていうのは、正直嬉しい。


だけど泣きじゃくっていたアイツを思い出すとそう思う俺が醜く感じてしまう。






























「なんだか今日は元気ないね、キバ」


放課後、学校が終わって俺たちはいつものようにグランドに集まった。
向こうでナルトが帰り際のサクラに一生懸命喋りかけているのを俺はサーカーボールを足で遊びながら眺めていると、
チョウジが心配そうな顔で話しかけてきた。



「お、お?そーか…?」

「うん、お腹でも痛いの?」

「お前じゃねーんだからちげーよ」

「そっか、」


そうニコリと笑ってチョウジは玄関のほうをちらりと見た。



「シカマルはいつもの?」

「おう、でもなんか課題出すだけだからすぐ来るつってたぜ」

「そうなんだ。じゃあ今日で終わるんだね、カカシ先生のあれは」

「そうなんじゃねーの、」


ボールを軽くポーンと蹴って、あいつのクラスの見上げた。







もともとクラスの階はちげーし、学校じゃあ滅多に会わなかったから今日だって1回もあってねえ。
それにどんな顔で会っていいかわかんねえし、恥ずかしいからさ、
だからちょっとホっとしたけど、



でもあいつは今頃シカマルと顔合わせてんだろ…、
どんな顔でシカマルと会ってんだあいつは…、






「あ、シカマル」

横からチョウジの声が聞こえて玄関の方面に目をやるとシカマルがだるそうにダラダラとこちらに向かっていた。
ふいにシカマルと目が合うと、シカマルは俺の顔を見て近寄ってきたので自然と身構えてしまった。


「な、なんだよ、」

「お前こそなに強張った顔してんだよ、なんかあったか?」

「あ、いやお前がなんか言いたそうな顔で近づいてきたからさ…、」


そういうとシカマルは「ああ…」と頭をポリポリ掻いてなまえのクラスをちらりと見上げた。




「カカシんとこ行ったらよ、なんかあいつ今日休みだって言うから」

「え!?」

「風邪だってさ」

「風邪…」


ま、まさか………!
あんときの雨のせいじゃ………、



「だから提出は明日でいいってよ。まあめんどくせえからもう渡したけどな、」

「へー…、」

「んでよ、」


そう言いかけてシカマルは携帯を取り出した。



「あいつのアドレス教えてくんね?」

「……え、なんでだよ」

「先週あいつに俺のアドレス教えただけで、空メール送れっつったのにこねえし」

「………、」

「まあ風邪引いたつってるし、お見舞いメールでも送ってやろうと思ってよ」

楽しそうに笑うシカマルの顔に思わず横を向いて逸らした。


なんでこいつはこんな顔をしてんだ…、
そんな顔見たくねえよ…………!












「教えたくねえ」







キバの場合






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