9、無交思考.2




「シカマル最近楽しそうだね、」

「あ?そうか?」

「うん、なんかグランドで遊んでるとき、楽しそう」




今日も眠たい目をさすりながら、寒いグランドへ集合する。
グランドの中心で遊んでるキバとナルトを眺めていると、チョウジがご機嫌に話かけてきた。


なんだか嬉しそうに笑いかけてくるので、思わず眉間が寄ってしまう。






「そうか?」

「うん、自覚ない?」

「自覚なあ………、」



目を上に向けて思い浮かべてみる。





楽しいことなあ、





なくもねえけど………、








そのまま目が自然とある教室の窓へと向いてしまう。今日もいるであろう人物の顔を浮かべてみたがすぐ消えた。








………今日はまだ来てねえんだな、








視線を外しまたナルトとキバに目をやる。





「元気だなあいつら、」

「そうだね。ボク動くの嫌いだからなんか尊敬しちゃうよ」

「俺も。」



楽しそうにボールを追いかけるナルトとキバ。つか、二人でもサッカーって成立すんだな、





二人を見てると、若いっていいよな、なんて思わず心の中で呟きたくなる。

そんなこと思うから、ナルトとキバに「年寄り」なんて言われんだな。






一つため息をすると白い息が漏れた。

寒ぃと手をポケットに突っ込んで、空を見上げる。




冬っつーのは、曇ってばかっだな。たまには太陽サンを拝みたいぜ。










ナルトとキバや曇りばかりの空を眺めるのに飽きた俺は、グランドの周りをただ適当にぐるりと見渡した。


ボケーと見れる丁度いいもんを探したかっただけだったけど、グランドの端にある花壇に思わず目が留まった。










「シカマル?」

「悪ぃ。便所行ってくるわ」

「あ、うん」




チョウジに一言そう告げて、俺の足は花壇へ向けて歩き出した。

















後ろから、「よ、」と話しかければ、肩をビクっと揺らし驚くソイツ。




「悪い。驚かせたか?」


「あ、うううううん!全然だよ、全然!」


すんごい勢いで首をぶんぶん横に振るもんだから、思わず笑ってしまう。



やっぱ反応が面白いコイツ。




「焦りすぎ」



そう言って笑うと、少し恥ずかしそうに俯いているソイツにまた笑みが漏れた。





コイツ、あれだな…………、







「つかなんで、水やり?」

「あ、カカシ先生に」


「お前、そんなにカカシに目つけられてんだな、」



少し呆れた顔を向けると、困ったように考え込んでまた笑うソイツ。


「目つけられてる…まあそうだね、パシリみたいなもん」




「まあ、わからんでもねーけど」


「え、」


「なんつーの、いじめたくなる顔?」

「いじめ……!」



「可愛いってことだろ」


「……………」






犬っころにかまってやってる感覚っつーかなんつーか。

なんか構いたくなる。おもしれえし。見てて飽きないっていうか。そんな感じ。




ふとソイツの顔を見ると、また面白い顔をして焦っていて思わずまた笑みが漏れた。






まじ変なヤツ、
からかうとまじおもれーし、


ま、毎朝なんもねーのにキバ見てるっつーのも、よく考えりゃぁすげーつーか。





あ、



チラっとグランドの中心に目を向ける。




キバ呼んできたほうがいいんじゃね、
コイツ話たいんじゃねえか?


って、俺が気使ってもしょーがねーけど。

















けど俺がしようとしてた気遣いは無用だったようで、

あの後、キバやナルト、チョウジに見つかって、嵐のように騒ぎ立てれたあと、


ソイツの顔が熱いだなんだでキバが騒ぎ出し、あっというまに保健室に連れて行ってしまった。















………なんつーか、アイツこれじゃあまるで、よ。






「キバってあの幼馴染の子好きなんかなー?」

横でキバとソイツの後ろ姿をニヤニヤとからかうように笑っているナルト。




「………んー、なんかそんな感じするね、」

「キバがあんなお節介になんのあんま見ないってばよ」

「幼馴染だから、って感じでもなさそうだしな。」





「キバも春かー!」


「"も"ってなんだよ」



「だって、シカマルも、」


「俺は、そんなんじゃねーよ、」




「あーいいなあ、オレもサクラちゃんと…」


にしししと笑うナルトの頭を思わず小突く。ったくめでてーヤツ。





「その前にサスケどうにかしろよ、」

「うるさいってばよ!サスケはいつか絶対ギャフンと言わせてやるから見とけってばよ!」

「へいへい、いつか、な」

「シカマルはほんと嫌味なヤツだよな」


少ししょぼくれた顔をするナルトに思わず笑った。
















































「………あーめんどくせーの」




放課後、少しボーと自分の席で窓の外を眺める。思い出すのは、昨日の出来事。



泣いて怒って忙しいヤツだな、まじで。つか、俺なにしたんだっての。



考えてもわけがわからんくてとりあえずめんどくさくてため息が出る。


そうしているとキバがカバンを持って俺の席へと声を掛けてきた。



「今日も遅くなんだろ〜?」

「…あーうん」


「じゃあ、今日もオレは先にグランド行きますか」


「おう。…………あ、」



「んー?」




「…………アイツよ、ジュース嫌いだったりすんの?」

「はあ?」


「あー……、なんでもね」


「なんだよ言えよ。気になるだろ?」


「…………だから、お前の幼馴染、」

「なまえ?なまえがなんだよ。ジュース?」


「ジュース買ってやったら嫌いだーって怒って泣き出して、」


あ、違うか。泣いてたのはその前で、怒ったのは………って、あ"ー!めんどくせえ。



「なんでもねえ。もう知らねえよめんどくせー」

「はあ?ちょ、」


「じゃーまた後でな」



意味が解らないようにポカーンとしてるキバを置いて、俺はさっさと教室を出た。


アイツのクラスにいつもならそのまま向かうのだけど、今日はなんだか行きずらいっつーか。




だが俺はなにもしてねーぞ。勝手に泣いて怒ったんだ。人がジュース買ってやったのに。






「…………ったく。」



行き場のない俺の足は一度立ち止まって、そのままアイツのクラスとは違う方向へ足を進めた。


















「おばちゃん、お茶2本」


地下の食堂の隣、購買へと足を運んだ俺は、昨日と同じ購買のおばちゃんに声をかけた。

おばちゃんにお金を渡して、お茶を受け取る。




「お茶なら文句ねーだろ、」






何を意地になってんだか、俺は。
よくわかんねーけど、可愛がってた犬に差し出した餌をプイっとされたこの悔しさってのはなあ、


まあそんなことはいい。とにかくお茶なら嫌いじゃねーだろ、誰だって。




お茶が無理なら、今度は紅茶か?炭酸系か。
それがダメなら…、って、別にそこまで餌付けしたいか俺は。


つか、別にアイツ餌付けしてどうすんだっての。








「ってアイツは犬じゃねーか、」


アイツのクラスへの道のりを進んでいく。
そうポツリと呟けば、一人喉を鳴らして笑ってしまった。



今日はどんな顔すんのかなアイツ、また百面相して時計見んのかね、
つか、そんなことするよりもプリントしろっての。
ただでさえアイツ全然進んでねーのに、


今日はさすがに、しごいて勉強教えねーとな、




クククと笑いながら、オレはアイツのクラスの前で立ち止まった。
ドアに手を掛けて、ガラガラと横へ引いていく。



開けられたドアの向こうに、俺は少し拍子抜けた。





「……いねえ、」






いつもいるアイツの姿がなく、ただ空の教室が広がっていた。







無交思考.2






→あとがき
今回は2作続けてシカマル視点。
とりあえずあの出来事までのを、シカマル視点でだーと書いてしまったのでもう文章がいつも以上にひどい。
次こそはもっと丁寧に!




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