6月6日 22:00
「疲れた…」
今日は昨日の反省を活かしてちょっと早めに帰らせてもらった。 もう居なくなってるかもしれない。いや居なくなってくれたらいいのに。
「お帰り☆遅かったじゃないか」 「………ただいま」
甘かった。 やっぱり居た。いや居たどころじゃなかった。
「良いもの見せてアゲル◆」 「いや遠慮します」 「こちら、タネも仕掛けも御座いません☆」 「聞けよ!!」
全く人の話を聞かないヒソカは自身の腕をサラサラとトランプで撫でると…何故だか腕がぱっくりと割れた。 どろりと流れる血は本物みたいだ。その中から1枚のトランプを取り出したヒソカはトランプを私に差し出した。
「おげ………」 「ナニその反応」 「むしろ、お前が何なんだ…」
気持ち悪いしグロい。 顔をしかめながらしっしっと手を降るとヒソカはますます笑みを濃くした。
「キミって本当に面白いね」 「は?」 「いや、普通一般人なら叫んだり驚いたりするのに、キミは驚きもしないからね」 「いやいや充分驚いてるから」
私の言葉を聞いてるのかいないのか、「やっぱりキミじゃないのかなぁ」なんて言いながら唇をペロリと舐めるヒソカ。 ちょ、なんかぞわってした今。
「なんの話?」 「ねぇ、キミって一般人だよね?」 「どこからどう見てもそうでしょ」 「ん〜、でもなんでか僕にはすごく美味しそうに見えるんだけどなぁ…」
スッと細められた目が獲物を捕らえるように私を見据える。思わずついと目を反らすといつの間に近付いたのかぐいと顎を掴まれてしまった。
「なんでだろうね?」 「ちょっ知るか離して!」 「ああ…さっきまで千切れてた腕を躊躇いもなく叩くなんて…なかなかやるね◇」 「あ!ごめ…ってなんでくっついたの!?」 「今更かい?」
ニコニコと笑うヒソカは普通に恐い。なんでだ。 とりあえずなんか不愉快だったからもう一度腕を叩いたらやっと手を外された。
「あ、晩御飯は?」 「作っといたから食べなよ」 「え?」
6月6日 22:30
なんと料理ができたらしい。しかも普通に美味い。
「ひっふりひはひ!」 「ちゃんと飲み込んでから喋りなよ」 「びっくりしたし!」 「確かにさっきの僕の切断マジックよりもイイ反応だね★」 「そりゃね。ご飯のが嬉しい」
もぐもぐと食べているとまたじいっと顔を見詰められてる。 …食べづらい。
「見てて楽しい?」 「うん。なまえは可愛いなあって」 「ぶほっ!!」 「キタナイなぁ」
思わず口の中のもの吹いたわ。
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