「うーん、なんとなくだけど、左に進んでみよっかな!」 ざくざくと枯れ葉を踏んで左にひたすら進んで行くと、森の向こうに村のようなものが見えた。 「わ、村だ!」 嬉しくなってつい駆け足になる。そのまま勢いよく飛び出すと、目の前にはこじんまりとした村があった。 「誰も居ないのかな…?」 寂れた感じがする村は、パッとみた目では人が居るようには見えなかった。仕方なく、歩き回って人を探してみる。 「もしも〜し、誰かいらっしゃいませんか…?」 村は何故だかところどころ焼け落ちたような跡が残っていた。半壊したままの家もあり、明らかに人は住んでいないように見える。 「はぁ…どうしよ」 とりあえず座り込んで考えていると、一際大きなお屋敷のような家が目に飛び込んできた。比較的他の家よりもこぎれいで、人が居そうな気もする。彼処に行けば、誰かに会えるかな? でも、もし入ってみて怖い人とかが居たらどうしよう…。 「座ってても仕方ないし…」 立ち上がった私は… 覚悟を決めて屋敷に入った もう少しこの辺りを回ってみることにした 「入ってみるか!」 覚悟を決めて、お屋敷の中に入ってみることにした。 「暗いなぁ…」 ぼんやりとしか辺りが見えない。電気などは何もないようで、もちろん私だって灯りになるようなものは持ってきて居なかった。 「ん?」 ギシギシと私以外の音が聞こえたような気がして、ピタリと足を止める。どうやら廊下を曲がった先の方から聞こえてくるらしい。 私は… よかった、人だ!とそちらに向かう なんか怖い…、と足音と逆に向かう 「あの!すみません、ここって一体…ひぎゃあっ!」 だだだっと駆け寄って角を曲がった途端、目の前にキラリと光るなにかが突き付けられていた。しかも3つ。 「貴様」 「一体」 「何者だ」 「何故」 「屋敷に」 「居る?」 3人が口々に喋ってるけど、どうやら3人で1つのことを喋ってるみたい。3人ともがお面で顔を隠していて、なんだか不気味だ。ああ、こっちに来るんじゃなかった! 「いや、私、ちょっと迷子みたいで…」 私の言葉に反応せず、3人は上から下まで私をじろじろと見回す。 うう、居心地悪いよ…。 「なかなか」 「奇妙な」 「生き物だな」 「主への」 「手土産に」 「丁度いい」 なんだか話が纏まったようだけど、聞こえてきた単語に嫌な予感しかしない。 「うきゃっ!」 突然ふわりと持ち上げられて、思わず悲鳴が出た。しかし、それを全く気にしないように担ぎなおされた。 「大人しく」 「していれば」 「なにもしない」 明らかに怪しい人たちに言われても…、と内心複雑だったけど、今は従うしかなさそうだったので従うことにした。 お屋敷を出てしばらく歩くと、突然3人の男の人が立ち止まった。どうしたのか訊ねようとした途端、目の前に馬が降ってきた。いや、本当に語弊ではなく。 「う、馬が降ってきた…!」 「HA、やっと見つけたぜ…。三好三人衆だな?」 「お前は」 「奥州の」 「独眼竜」 1人慌てる私は完全にアウェイな空気だったので、大人しく黙っておくことにした。独眼竜と呼ばれた人はチラリと私を一瞥すると眉をしかめた。 「てめぇらも懲りねぇな?また松永の野郎に言われて人浚いか?」 「政宗様!あれほど先走るのはお辞めになってくだされと…」 「shit!小十郎に追い付かれちまったか」 話していると、また頭上から馬が降ってきた。どうやら独眼竜さんの仲間らしい。ちらりと上を見ると結構高い位置に崖みたいなものが見えた。 まさかあの高さから飛び降りてきたの…? 「政宗様、あの娘は…」 「さぁな。どこのどいつか知らねぇが、大方あの妙な恰好を見て、松永の野郎んとこに持っていこうとしてんだろ」 二人はなんだか私の話をしてるみたいだ。ていうか、制服が妙な恰好ってなんだ?むしろさっきからずっと突っ込みたかったけど彼らの方が異常だ。鎧に兜に刀なんて…日本の警察は何してるんだと言いたくなるような恰好の人しか見てない。 「おい、女!」 「ぅえ!?は、はいっ!」 突然独眼竜さんに呼ばれてびっくりして声が上擦ってしまった。それが彼にはどうやら恐怖で怯えるか弱い女の悲鳴に聞こえたらしい。 「そう怖がんな。すぐに助けてやる」 「あ、はぁ…」 状況が理解できない私を放って、3人は私を担いだまま独眼竜さんたちに斬りかかっていった。 いやいや、せめて私を降ろせよ! 「ぎゃああああ!!」 「ちっ…手土産と盾を兼ねてるってか?相変わらずだなクソ野郎共」 「政宗様、ここはこの小十郎にお任せくだされ!」 「All Right!任せたぜ小十郎!」 なんだか息ぴったりな二人はうまいこと攻撃を交わしつつ私を奪おうとしてくれている。てゆか、私はどっちの味方すればいいんだろ? 「っ…女!手ェ伸ばせ!」 悩んでいると強面のお兄さんが叫んだ。確かに、いま手を伸ばせば彼の腕を掴める。 私は… 思いきり手を伸ばした 躊躇して手を伸ばさなかった 「っ…はい!」 思いきり伸ばした手は、しっかりと強面のお兄さんに握られた。そのまま痛いほど強く引っ張られて、お兄さんの腕の中に飛び込む。 「うぶっ!」 「政宗様!」 「OK!よくやった小十郎!覚悟しろてめぇら…癖になるなよ?」 独眼竜さんはド派手な技(ていうか人間じゃない。雷出てたし)を繰り出すと、そのまま3人は放ってひょいと馬に飛び乗った。それから、私に向かってスッと手を差し出す。 「ほら、来い」 「へ?」 「あんまりこんなとこでぐずぐずしとくと、また浚われるぜ?とりあえず、俺の城に連れていく」 「政宗様!」 「いいじゃねぇか小十郎。コイツが何者なのか、じっくり話が聞きてぇ」 強面のお兄さんはしばらく独眼竜さんを見つめてたけど、独眼竜さんがニヤリと笑うと溜め息を吐きながら「仕方ありませんな」とぽつりと呟いた。 「HA、そうこなくちゃな!まぁ、アンタに拒否権はねぇぜ?you see?」 「あ、あいしー…」 私の返事にびっくりした顔をした独眼竜さんにくすりと笑みを溢しつつ、その手を取る。 なんだかよく分からないけど、彼らについて行けば何かが変わる気がした。 【独眼竜ルートへ】 ここまでで力尽きました。お疲れさまでした。 やっぱり最後まで行きたい!というお嬢さまは此方へどうぞ |