流星街。
何を捨てても許される無法地帯。


そこが、私たちの故郷だった。

毎日、生きていくのに必死だった。死は常に隣に在ったし、生き延びる為ならなんだってした。
それでも此処には、大事なものはひとつもなかった。



ただ生きる為に最低限必要なものすら、満足にない場所。
満たされない、渇きばかりが増していく場所。


いつもいつも、足りないものばかりだった。




食事も、家も、服も、平和も、そして愛情も。







「ねえ、クロロ。」

「ん?」

「なんで此処にはこんなに沢山のものがあるのに、こんなに足りないのかな。」


まだ幼い私たちは、酷すぎる現実と懸命に向き合おうともがいていた。


「…そうだな。此処に在るのは、棄てられた“ゴミ”ばかりだからじゃないか?」

「そっか。じゃあ私たちも“ゴミ”なのかな?」


捨てられたのだという事実。
その絶望は、きっと私たちにしかわからない。

愛情なんて、此処には存在していなかった。


「っ…そんなことはない。俺たちは、此処にある役立たずのゴミとは違う。」


それでも、私たちはたったひとつだけ大切なものを持っていた。


「俺たちは、仲間だ。」


その言葉はまるで絶望を晴らす光のように輝いていて、こんな世界の掃き溜めみたいなところに居る私たちでも、生きる意味はあるのだと、価値のある存在なのだと、教えてくれた。



私達はかけがえのない仲間。









 雨音が響く過去







遠い遠い、寂しい記憶。





 

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