今こそ日頃の恨みを晴らす時だ!


「起きるな、起きるなよ〜」


足音を忍ばせてそっと近付いていく。目の前にはアジトの広間で無防備にも眠りこけてるヒソカ。いつもいつも私がこの変態にどれだけの被害を受けていることやら…。あ、考えたら涙出てきた。(私、本当によく堪えてる)


「ふふふ、日頃の恨み晴らさでおくか…!」


片手に油性ペン(やっぱりお約束でしょ!)を握り締めながらあくまで絶を怠らないように慎重に距離を縮めていく。
あと、数メートル。


「お?何してんだおま」
「しーっ!」


物凄くタイミングの悪いノブナガ(KY男め!)の口を塞ぐため、慌てて広間の入り口へ。恐る恐る振り向けば、変わらぬ姿勢のヒソカが視界に入った。


「もー、ノブナガのせいで台無しになるとこだったじゃん!」
「なにがだよ?」


ヒソカを起こさないよう小声で会話する。


「ヒソカに復讐!」


私がニヤリと笑ってペンを見せれば、ノブナガもニヤリと笑った。


「お前ェ、ヒソカにそんなことして大丈夫かァ?」
「顔に面白そうって書いてあるよ」


私たちは再び顔を見合わせてニヤリと笑うと、そのまま絶をした。私が1歩出るとノブナガも着いてくる。(よっしゃ、共犯者ゲット)気付かれないように、だけど確実にヒソカに近付いていく。

もう腕が届きそうだ。
そっとペンの蓋を外す。よし、あとちょっ……


「ぎゃっ!」
「おわっ!」


何がなんだかわからない内に私は尻餅をついていた。(あ、ノブナガが下敷きだ。)頬にぴりっとした痛みが走る。手をやると指先には赤い液体。え?血?


「…寝込みを襲おうとするなんて、酷いなあ◇寝ぼけて殺っちゃいそうになったじゃないか★」


目の前には満面の笑みでトランプを弄ぶヒソカ。やばいやばいやばいやばいやばいやばいって!


「次はないからね?☆」


ヒソカは私の頬をペロリと舐め上げると、くつくつと笑いながら広間を出て行った。



生きててよかったぁぁぁ!


(ちょっ、マジで死ぬかと思った!)
(わかったから早く退いてくれ!)