「高杉ってさー、エロいよね」
「…あァ?」
あ、突然何を言い出すんだコイツはって目で見てる。いやんそんな見つめないでよ、恥ずかしい。
「…バカだろてめェ」
「あら聞こえてた?いやいや失礼、でもだからってバカはないでしょー、これでも一応学年トップ」
自身を指差してへらりと笑えば盛大に溜め息を吐かれた。…嗚呼、溜め息ですらエロいわ。
「なんなんだよいきなり」
高杉は呆れたように私を見やる。まあ、ただのクラスメートがいきなりこんな発言したら普通はそう思うだろうね、うん。
「いや、常日頃から思ってたんだけどさ、さっきシャーペン顎に当ててたじゃん?」
「あぁ」
「アレがエロすぎて思わずね。だってただのシャーペンがなんか卑猥なもんに見えたもん」
「そりゃてめェの頭ん中が卑猥だからじゃねーのか」
そうかも、と呟けば盛ってんじゃねーよ女のクセに、と頭をはたかれた。酷い。
「自分が女扱いしてないじゃんかー」
叩かれた頭を抑え口を尖らせて抗議すれば、高杉は先程のようにシャーペンを顎に当てる。考える時の癖なのだろうか。
「…やっぱエロい」
高杉が言葉を発する前にそう呟けば、高杉は何かを思い付いたようにニヤリと笑った。この笑顔にすら、色気が漂ってる。
「じゃァ、女扱いしてやろォか?」
「は?」
あまりに妖艶な笑みに一瞬反応が遅れる。本当に同い年なのかコイツは。
暫く考えて先程の話題だと理解した。
「何?女扱いしてくれんの?」
「あァ」
「紳士的にエスコートとか?いやでも高杉に紳士的ってないわ。唯我独尊的とか妖艶的になら出来るだろうけど」
尚も妖しく笑う高杉の前で今度は私がぶつぶつと考え込む。
うーむ、わからん。
ヒントでも貰おうかと顔を上げれば、目の前に高杉の、顔。
「…くくっ、男にゃこんなことしねェよ」
ゆっくりと離れた高杉はぺろりと自分の唇を舐める。う、わ、やば。
「…エロすぎんだよこんちくしょー」
嗚呼もう、全く顔が熱いったらない。悔しいほどにさっきからドキドキさせられっ放しだ、私が。
きっと赤くなっているであろう顔を隠すため俯けば、スルリと綺麗な指が私の顎を掴みくいと持ち上げた。眼前には再び整った高杉の顔。
「俺ァてめェのその顔のほうがよっぽどエロいと思うぜ?」
「…は?」
ぽかんと口を空けて見つめれば途端にぐっと高杉が近付いてぬるりとした感触が唇を割って浸食してくる。
「ん、は…」
銀の糸を引いて離れれば煽情的な表情をした高杉がそっと私に囁いた。
「なまえの泣きそうな顔、すげェそそんだよなァ」
欲情ベーゼ
「私、ずっと前から高杉に欲情してたのかも」
「くくっ、奇遇だなァ。多分俺もだ」
見つめあって誘いあってとろけるようなキスをしよう
100207 再録