「起きなさいっ!アンタいつまで寝てんの!?遅刻するわよ!」


勢いよく布団をはがされ、クーラーで冷え切った空気がぶるりと私の体を震わせる。


「うー…寒い…。」

「ったく…あら?アンタなんで泣いてんの?」

「へ?」


お母さんの言葉に慌てて頬に手をやれば、頬はしっとりと濡れていた。


「まあいいから早く準備しなさいね!」

「は〜い…。」


お母さんが部屋を出ると急いで鏡を覗き込む。涙の跡は幾つも筋となって残っていて、随分泣いたのだと思った。



「笑ってるかな…。」


あれ?誰が?

ぽつりと自然に出てきた言葉に自分で驚く。
たくさん泣いたみたいなのに、変だなあ、すごくいい気分!


「遅刻するわよー!」

「うわわ、はーい今行くー!」


下から聞こえたお母さんの声に返事を返して、慌てて階段を駆け降りた。










(きっと貴方も笑顔なはず)