「アンタが笹木舞だね?」
「は、はい」
なんとか騒ぎも収まり、やっと理事長室の中に入ることが出来た。向かい合って自己紹介を済ませる。
理事長はお登勢さんと言うらしく、なんだかとても威厳のある人だと思った。
「もう聞いてるかも知れないけどコイツがアンタの担任だよ」
お登勢さんが指差したのは顔がデコボコになってしまった銀八先生。
だ、大丈夫かな…?
「まあ、あのクラスは何かと大変だろうからね。がんばりなよ」
ニヤリと笑うお登勢さんにさっきよりも大きな不安を感じたのは私の気のせいでしょうか?
それから、転入手続きの書類を貰って理事長室を出た。
お登勢さんにとりあえず教室を見てきたらどうかと言われたので、提案通りクラスに行ってみることにした。再び先生の後について廊下を歩き出す。
「まあアレだ、わかんねーことがあったら適当にやっときゃなんとかなるからね、3ーZでは」
「そうなんですか…」
なんとも教師らしからぬ発言に驚きつつも、こんな先生が担任だったら高校最後の一年間は楽しく過ごせそうだなあ、なんてこれからの生活に少し期待をして廊下を歩き続けた。