「俺、坂田銀八ね。舞ちゃんが入るZ組の担任と国語科の担当してんの」
ぺたぺたと廊下を並んで歩きながら先生からの自己紹介を聞く。
「銀八先生?」
隣で揺れる綺麗な銀髪にぴったりだな、なんて思いながら名前を呼ぶと、先生はまた目を丸くして此方を向いた。
「あ、すみません坂田先生」
「…や、さっきのでいーから」
「へ?」
「いやむしろ銀さんとか銀ちゃんとかそーゆーフレンドリーな感じのほうが…」
馴れ馴れしかったかな、と思って慌てて言い換えたのに先生は真面目な顔をして一人でぶつぶつと呟き続けている。 理事長室と書かれたドアの前に着いてもまだうんうん唸っていて、仕方なく声をかけることにした。
「あの…」
「遅いんだよこの駄目天パァァ!!」
途端に、凄まじい音と共に私の目の前で吹き飛ぶドアと先生。 斜め後ろに立っていて本当によかったと胸を撫で下ろした。
ヘコんだドアと先生の前に立ち塞がっているのは…口から煙を吹き出してものすごい形相をしたおばあさん。 め、めちゃくちゃ怖いよ…!
「ってーな何しやがんだ糞ババア!」
むくりと起き上がった銀八先生が頭を押さえつつ抗議の声を上げる。 目の前に立つおばあさんはそんな先生をギロリと睨み付けた。
「連れてくんのが遅すぎるんだよ!どうせ迎えにも行かないで職員室で板チョコでも食ってたんだろーが!」
「いや俺定期的に糖分摂取しねーとダメなんだよマジで」
「一遍死にさらせェェ!」
「ギャァァー!」
私にはどうすることもできなかったので、ただ黙ってそれが終わるまで見ていました。 来月から通うことになるというのに、私は早くもこの学校の教員陣に不安を感じてしまいました。あれ?作文?
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