とうとうこの日がやって来た。雲ひとつない晴天の下で、第23回秋季合同体育大会が行われようとしていた。


「あれ?土方くん?」

「おお。久しぶりだな、舞」


開会式が終わって自分たちのテントに向かっていると、前方に暫く見なかった土方くんの姿を見つけて思わず声をかけた。


「久しぶり!集英高校はどんな感じ?」

「あー…まあ、あんまりそっちと変わんねぇな」


河上くんが交換学生としてうちに来た代わりに、土方くんも交換学生として集英高校に行っていたのだ。約3週間ぶりになる再会にはしゃいでいると、土方くんの後ろから誰かの声が聞こえてきた。


「土方くん、こんなところで油を売っていて貰っては困るよ。君は今の自分の立場をもっと自認すべきだ」

「チッ。伊東…」


土方くんが少し怖い顔をして、私の前に立った。背の高い土方くんのせいで、私には向こうに立っている人が見えない。


「まだ俺の出る種目の時間じゃねぇ」

「しかし、今の君は集英高校3年G組のメンバーだ。勝手な行動は謹んでくれたまえ」


土方くんの向こう側から聞こえてくる声に、はてと首を傾げる。私、なんだかこの声聞いたことある気がする。どこだっけ、とうんうん頭を捻っていると、後ろからくいと腕を引かれた。


「舞、探したでござるよ」

「あ、万斉くん」


私の後ろには万斉くんが立っていた。私の手を持ったまま、万斉くんはチラリと私の前に立つ土方くんを見てそれからその向こうに立つ男の子を見た。


「久しぶりでござるな、伊東殿。相変わらず主の心音は複雑でござる」

「やあ河上くん。君こそ相変わらず訳のわからないことを言うね」


2人はどうやら顔見知りらしい。どうしよう、私居ないほうがいいかな?話し出した2人の邪魔をしないようにそっと立ち去ろうとしたら、あの男の子に呼び止められてしまった。


「待ってくれ。君は…」

「あ…高杉くんのお誕生日会の時の!」


振り向いた先に居た男の子は、高杉くんのお誕生日会で会った人でした。