「おい、帰んぞ」
補修が終わった瞬間教室から駆け出そうとした私は、この一声と共に呆気なく捕まった。
「…私、神楽ちゃんと帰りたいな〜なんて…」
「ほォ、俺とは帰りたくないっつーことかァ?」
つつ、と高杉くんが私の顎を撫でる。ああもう!
「こんな風に身の危険を感じるから嫌なの!」
「くくっ、仕方ねェから我慢してやる」
高杉くんは綺麗に笑うと赤い顔のまま憤慨している私の手を素早く掴み、力強く引いて行った。
「乗れ」
そう一言いわれ(法律違反だけど)只今自転車に二人乗りしてます。いやだってこれ断るほうが勇気いるって!
お互い特に会話もせずただ風を感じていると、高杉くんは交差点を左に曲がった。
「高杉くん、家、向こうなんだけど」
私の家はさっきの交差点を右に曲がったちょっと先くらいだ。送ってくれるのかと思っていた私が高杉くんに後ろから声をかけると、彼はわかってると一言いってそのまま進んで行った。
え、てゆうかわかってるっておかしくない? 私転校生ですけど。 高杉くんと知り合ったのなんか7月なんですけど。
「万斉たちに調べさせた」
「どっ読心術!?」
てゆうか万斉たちって誰だよォォ!!
私のキャラが崩壊してきたのがわかったのか、高杉くんはそのうち紹介してやる、とだけ言って自転車のスピードをあげた。
てゆうかこれ、どこに向かってるんだろ?
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