8月。
青い空にはもくもくと白い入道雲がわき起こり、太陽が白く輝く季節。
世の中の学生たちは所謂“夏休み”を満喫している時期である。
…時期である筈なのだが。


「あの…先生…?」

「んー?どした、舞?」


私は疲れ果てた顔でゆっくり手を挙げる。


「なんで私が此処に居るんでしょうか…?」


私の問いに、我らが担任銀八先生は笑顔で答えた。


「そりゃお前、高杉くんのお付きだろ?」


恐々隣りを見ると、それはそれは楽しそうな笑みを浮かべた高杉くんが座っていました。





「あーもうなんで私が高杉くんの為に毎日学校来なきゃ行けないわけ!?」

「まあまあ、これでも食べて落ち着くアル」


只今、休憩時間を利用して女子トイレに避難してます。


「だって私別に補習受けなくてもいいのに…」

「でも私毎日舞に会えて嬉しいネ!」


補習を受ける神楽ちゃんは必然的に毎日学校に来なければならないため、にっこりと笑って私を見る。
私だって神楽ちゃんに会えて嬉しくないわけじゃない。ただ、なんで私が高杉くんのとばっちりで毎日毎日学校に来なければいけないのか。


「あ、チャイム鳴ったアル」

「…行こうか、後二時間だし」


補習はすべて午前中授業なため、後数時間で愛しの我が家に帰れるのだ。
私はひとつ盛大な溜め息を吐いて、神楽ちゃんとトイレを後にした。