「くそ…あの糖尿天パいつか絶対ェ殺す」


朝からアイツのしつこい電話攻撃を受け、いつもよりだいぶ早い時間に起きてしまった。その為4限目から行こうという俺の計画は見事に潰され、しかし普通に間に合うように行くのはなんとも癪なのでわざとかなりゆっくり登校した。

学校に着き久しぶりの教室のドアをガラリと開けると誰も居なかった。
教室を間違えたのかと一瞬不安になり確認すると確かに自分のクラスだった。チラリと日課を確認すれば1限目には体育の文字。だから、か。


「くァ…ねみィ」


自分の席である窓際の一番後ろの席に着くと、ひとつ欠伸をこぼしてからほとんど何も入っていない鞄を枕代わりにして睡眠をとることにした。



暫くしてからカラリと微かな音が聞こえた気がしたが、まだ寝たりなかったので再び寝ようと瞼を閉じる。しかしくすりと微かな笑みが聞こえて不思議に思った。

コイツは誰だ?

上履きが近付いてくる音がして少しだけ気を張る。しかしそいつはそれ以上近付こうとはせず隣りにじっと立っていた。たまに、何事かをぶつぶつと呟いている。どうしようか、とふと考えたところで我に返った。

なんで俺はコイツをこんなに気にしてんだ?

自分は眠いのにこんな風に悩まされているのが気に食わなくて、舌打ちをしたくなった。


「た、たか…高杉?」

「…あァ?」


そんなイライラしてる時に呼ばれたもんだから、つい声も不機嫌になる。
返事をして目を開ければ目の前には見たこともない女が口をぽかんと開けて間抜けな面をして立っていた。

誰だコイツ。