「あれ…?」


鞄を置こうと近付いた自分の席にはっきりとした違和感を感じた。誰かが自分の机にいる。そっと近付いてよく見てみると、その先客は私の机にうつ伏せて気持ちよさそうに寝息を立てていた。


「…誰だろ?」


サラサラの黒髪、すっとした鼻筋、とても長い睫を持つ瞳の片方には黒い眼帯がしてある。


「綺麗な顔だなあ…」


思わず見とれてしまうほどに、その男の子の顔立ちは整っている。朝日が窓から差し込んでいて、ちょうどスポットライトのようにこの教室の中で彼を照らし出して居た。

ふと眠る彼の上履きを見ると、うっすらと名前を読み取ることができる。


「た、たか…高杉?」

「…あァ?」

「えっ、」


不機嫌そうな声が聞こえて慌てて顔を上げると、目の前には射抜くような瞳があって何も言えずに魅入ってしまった。

なんて、綺麗な瞳。

これが私と高杉くんの出会いだった。