次の日、珍しく寝坊をしてしまった私は初めて本格的な遅刻をしてしまった。小さい頃から特に風邪も引かず、皆勤賞の常連だったというのに。


「なんか、遅れて行きづらいなあ…」


特に時間も考えず慌てて飛び出してきた為、今はきっと1限目の真っ最中だろう。なんとも運の悪いことに1限目は体育でプールだ。
遅れてきたことがあまりない私にとって、皆が泳いでいる中に水着で遅れて登場するなんてことは罰ゲームに等しい。


「仕方ない…よね」


誰にともなく呟いて、私は初めての“サボリ”を決定した。






上履きに履き替えて教室へ向かえば、誰もいない廊下に上履きの音がやけに響いて転校したてのころを思い出した。


「もう、3ヶ月かあ…」


私がここに来て、3ヶ月経った。この3ヶ月は毎日がとても新鮮で、楽しくて、充実していた。それはきっと、クラスのみんなのおかげ。ここにずっと居たいと思う。ここで、みんなと卒業したいと思う。

転勤の多い父の所為で今まで幾度も学校を転々としてきたけれど、私はこんなに素敵な学校はないと思うくらい、銀魂高校が大好きになっていた。


いろいろと今までの出来事を振り返りながらゆっくり教室のドアに手をかける。深呼吸をして、静かにドアを開けた。

普段あんなに騒がしいほどに賑やかな教室が、嘘のように静まり返っている。みんなが居るのと居ないのじゃ、こんなに教室が変わるんだなあ。
新しい発見にくすりと笑みを漏らしながら荷物を置こうと自分の席へ向かう。

改めて、私は3年Z組のみんなが大好きなんだと実感した。