「ね、桂くん」
「なななんだ?」
相変わらず目線は合わないけれど、呼びかければほんのりと頬を赤くしたまま桂くんが顔を上げてくれた。そんな桂くんに、少し近寄って悪戯っぽく微笑みながら提案する。
「この子猫の名前、小太郎にしない?」
「いや、それはダメだ」
即答されて少し面食らう。桂くんがこんなにはっきり言うなんて、そんなに嫌だったのかな。
「…どうして?」
「この猫はメスだろう」
桂くんは酷く真面目な顔で腕組みをしながら、当然だ、女の子に小太郎だなんてつけられるか、とぶつぶつ呟いている。本当に真剣な様子が可笑しくて、堪えきれず吹き出してしまった。
「ぷっ、」
「ぷっ?」
「あはは、そうだね!女の子だもんね!」
「そうだ。おなごだからな」
なんとなく会話がずれてる気もしたけど、桂くんは至って大真面目だからまあいっか、なんて思いながら猫を膝の上に乗せた。
「、そうか!」
「どうしたの?」
と思ったら桂くんがいきなり目を輝かせてこちらを見る。
「分かったぞ、猫の名前!」
桂くんはとても嬉しそうに、私の膝の上で丸くなる猫を指差した。
「女の子なのだ、可愛い名前がいいだろう?だからこの猫の名前は舞だ!」
「え、」
「よかったな、舞!」
彼の無邪気な笑顔につい顔が熱を持つ。そんな私に構わず、桂くんは今度は穏やかな笑顔で私と猫に笑いかけた。
「可愛いな、舞は」
ねえ、それは猫のこと?
隣の席の桂くん
かなり真面目で ちょっとズレてて 天然キラーな男の子
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