「うわわ本当にごめん!」

「気にするな」


桂くんは笑顔で許してくれたけど、私からしてみればそうもいかない。何してんの私、壊れた傘押し付けてどうするの!?恥ずかしいやらなんやらで一気に顔が熱くなる。
そんな私に構わず桂くんはとんでもないことを笑顔で言い放った。


「ならば…舞の傘に入れてくれないか?」

「…え?」


私は自分の耳を一瞬疑う。だってそれって…


「俺と相合い傘は嫌か?」

「えっ、その…」


考えていた言葉をさらりと口に出されて更に顔が熱くなる。
さらに子犬のような瞳で見つめられてどうしていいか分からなくなった。


「そうか、嫌なのか…」


でもしょんぼりとする桂くんがなんだか可愛くて可哀想で、私は慌てて首を横に振った。


「いっ、嫌じゃないよ!大丈夫!」

「本当か!?」


私の答えを聞いた途端嬉しそうに目を輝かせた桂くんがすごく可愛くて、思わずくすりと笑みが漏れた。


「うん。ちょっと狭いかも知れないけど…大丈夫?」

「もちろんだ。ありがとう」


桂くんはふわっと綺麗に笑って、私の手からさりげなく傘を取って持ってくれた。こういうとこ、紳士だなあなんて感心しながら桂くんを傘の中に呼ぶ。

2人で入ると私の傘はやっぱり小さかったけれど、微かに触れ合う肩が暖かいと思った。