隣になった土方くんに挨拶をして席に着くと、銀八先生がしかめっ面で立っていた。でもそれはすぐに感情の読めない顔になって、やる気のない声で土方くんに告げた。
「多串くん今から舞と喋るの禁止な〜。授業中とか喋ってたら態度点0点にすっから」
てか、あれ? なんか今舞って聞こえた気がする。
「はぁ!?意味わかんねーこと言ってんじゃねェ!」
「意味わかんねーのは多串くんの頭の所為ですぅ〜。舞は分かったもんな?」
「えっ、」
聞き間違いじゃなかった上に話を振られて慌ててしまう。ど、どうしようなんて答えたらいいんだろ…!
「ほら、舞も困ってんだろ!」
熱いのか頬をほんのり朱に染めて土方くんが怒鳴り返す。てゆうかあれ?また幻聴?
私が返事を返せないでいると、突然隣の土方くんの頭に鞄が当たった。振り向いた先にはニヤリと笑う男の子。
「土方コノヤローどさくさに紛れて呼び捨てですかィ。ちなみに俺は沖田総悟でさァ、よろしくな舞」
「てめェもしっかり呼び捨てしてんじゃねーかァァ!!つーかこれ俺の鞄ンンン!」
怒った土方くんの攻撃を軽々と避ける男の子は、どうやら沖田くんと言うらしい。栗色の髪に可愛い顔立ちをしてるのに、土方くんに対する態度や言葉がなんだか辛辣だ。怒って殴りかかる土方くんをひょいひょいと避けてはまた土方くんを煽っている。仲良しなんだなあ。
騒いでいる2人を見ながらもぼんやりと名前で呼んで貰えた嬉しさを噛み締めていた。
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