「ちょっ、志村!?落ち着け一体どーした!」

「先生、先生が来るのがいつもより遅かったせいでストーカーがいつもより長引きましたよどーしてくれるんですか慰謝料よこせや」

「オイィィ!最後のほうとかもう脅迫になってんじゃねーか!!」


出てきた女の子はすごく美人というか、可愛い顔をしてた。その可愛い女の子はにっこりと笑顔で拳を握る。やば、私も怖いんですが。

そんな私の心の内を知ってか知らずか、女の子が笑顔で先生に止めの一撃を食らわせるとぐったりとした銀八先生を掴んだまま私に目を向けた。


「あら、可愛い子ね。転校生?」

「えっ、はい!」


恐ろしいやら驚きやらで思わず背筋をぴんと伸ばして勢いよく返事をすると、女の子はくすりと可愛いらしく笑った。


「まあ、同い年なんだから敬語なんていいわ。私は志村妙。よろしくね」

「あ、私は笹木舞。よろしくね志村さん」

「嫌だわ志村さんだなんてよそよそしい。名前で呼んでちょうだい」

「じゃあ、お妙ちゃんって呼ばせてもらうね」

「ええ。私も舞ちゃんって呼ぶわね」


2人でふふふと笑い合っているものの、お妙ちゃんの手にはまだ先生の胸倉がしっかりと握り締められている。


「じゃあ、教室に入りましょうか」

「う、うん!」


にっこりと笑うお妙ちゃんを見て、私は来て早々に逆らってはいけない人に出会ったことを確信した。




「よーしお前ら全員居るなー。じゃーまずは軽く自己紹介から」


漸くお妙ちゃんの攻撃から回復した先生が教壇に立って私を手招きする。やば、かなり緊張してきた。
不安で押しつぶされそうになりながら先生の横に立ち、真っ直ぐクラスメートとなる人たちを見つめる。すると教室の窓際の席の方に座っていた、目つきの悪い男の子と目が合った。

あ、あの人って確か。