その日は本当に突然やって来た。 『いい子にお留守番してろよ』 『何か欲しいものある?』 『特にないよ』 『まあ勉強がんばれば〜?』 『うざい早く行け!』 なんてことない、日常の1コマだと思ってた。 『行ってきます』 『行ってらっしゃい』 それは、呆気ないほどあっという間に、私の大切なものを奪い去って行った。 『事故だー!』 『トラックが乗用車に突っ込んで』 『4人とも即死だと』 悔やんでもあの日には戻れなくて 『もしもし』 『落ち着いて聞いてください。たった今……』 『え…?嘘だ、』 ただ、私1人を取り残して時間だけが過ぎて行った。 『可哀想に』『1人だけ家に居て助かったらしいわよ』 『幸運だったわねえ』 なにが幸せかなんて、他人にわかるはずもないのに。 少なくとも私は、あの日から今日まで、幸せだなんて思ったことはなかった。 そしてきっと、これからも。 ▼暗いスタートですみません 100122 |