「…平助、くん」





そうつぶやきながら、
秋は俺の部屋で
静かに涙を流していた。




「私をおいて…っいかないでよ!」





わあっと、泣き始める秋は
別れた時よりも痩せていて、
やつれていた。









なぁ、秋

俺、ここにいるんだよ



秋に会いにきたんだよ

あの頃のまま、会いにきた






「へ…すけ…くっ……!」






ごめんな?


泣くなよ…





いつもみたいに、あのときみたいに
俺の大好きな笑顔、見せてくれよ



笑ってくれよ







触れようとしても触れられなくて、
俺の気持ちも、通り抜けてしまって







「平助くん……ぅあっ…」





俺はお前を泣かせてばかりだ。







ねぇ、神様、お願いだよ




一日なんてもういわない





今、今だけでいい



今だけでいいから


抱きしめさせてくれよ、








抱きしめて、それから、
どうしても秋に言いたいことがあるんだ







俺は、そっと秋を、
否強く、強く、抱きしめた。


たとえ秋が
今の俺の存在を感じなくても
気持ちだけでも、伝わるように


強く強く、抱きしめた。





「なぁ、秋、泣くなよ」



「平助…くん…平助くん…平助くんっ!」



「俺は、」




今もこれからも君だけを愛しているよ

「っ…平助くん…?」


秋が俺の名前を読んだ時には、



俺はもう、そこにはいなかった。








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